【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ35)

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ねじれの位置が33つページ35

「やめてっ！何すんの！」

「茅野！？」

彼女の大きな声にびっくりしたのは僕だけじゃない。ていうか、僕だけな訳が無かった。背丈の低い茅野の首根っこを掴んで扉から中に入って来るその男に全員が警戒する。

「こんにちは、椚ヶ丘中学校3年E組の皆さん」

第一印象は爽やか、と言った感じだろうか。目鼻立ちがくっきりしているし、髪の毛や肌の色素の抜け具合からして外国の方かもしれない。体格も明らかに太いとか、筋肉質とか、そう言う訳では無いけど、片手で茅野の……女子中学生を掴む事が出来る。それ位凄い人だ。

「きゃっ……！」

「茅野！」「茅野さんっ」

突然茅野の事を床に落としたのに、表情は何一つ変わらない。笑顔のままだ。
近くに居た岡野さんと前原君が茅野の無事を確かめて立ち上がらせる。恐怖で動けない茅野の背中を支えている。

この人は、いや、この人達は一体誰なんだ？

コクリ、誰かが固唾を飲んだ音がする。僕も見えない恐怖に襲われて手が震えていた。

「ねーおっさん、何しに来たの？暗殺が目的っぽくないんだけど？」

そう言って嘲笑ったのはいつも通りカルマ君だ。1番後ろの席で楽しそうに笑っている。

「暗殺？よく分からないから違うと思うよ。
ちょっと君達にお願いをしたいんだ」

そう言って彼は教卓に手を付ける。こんな異常事態が発生しているのに、どうして殺せんせーは来ないんだろう。どうして何もしないんだろう。手に力を込めてみても、なんの意味も無い。

「このクラスに多分、小野寺Aさんが居ると思うんだけど、貰っても良いかな？」

急に出て来た名前に全員が驚愕した。
どうして今此処で小野寺さんの名前が出て来るのだろうか。いつも無表情な彼女を確認しようと後ろを見てみる。

「え……？」
「あの馬鹿っ…」

彼女の座席には、其処には誰も居なかった。彼女もまた、磯貝君と同じくあの体育倉庫に閉じ込められているのかもしれない。もしかしたら小テストが嫌でサボったかもしれないけれど制服に着替えはする筈だ。まだ机の上に置かれている制服達がその可能性を無くす。

「あの子、このクラスには必要無いと思うんだけど」

どうかな、なんて友達にお弁当のおかずを強請るみたいに人が欲しいと交渉する。

この人は、悪魔だ。