【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ33)

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ねじれの位置が31つページ33

いつまでも浸っていたいけれど、そういう訳にもいかないから。私はゆっくりと悠馬から離れてなんとか自分の力で身体を支える。先刻の様な震えは無くて少し安心した。

「ごめん……」
「いーよ、俺がしたいからしただけ」

そうやって優しい言葉を連ねる悠馬に絆されそうになる。ぎゅっと唇を噛んで込み上げて来た気持ちを抑える。

────キーンコーンカーンコーン

6時間目の小テストが始まる合図だ。胸元で両手を握ったまま顔を上げる。悠馬もこの音に気付いたらしく少し安堵を漏らす。

「これで、殺せんせーが様子を見に来てくれるかもな」

そう、私はともかくこの時間に悠馬が自分の席に居ないのは可笑しい。だから心配してあの教師ぶった怪物が様子を見に来るだろう。

だから暫く声を出さずに待っているが、中々来ない。時間も分からないこの空間では、どれだけの間待っていたかなんて分かりはしないのだ。

私は近い距離に居る悠馬の手を取った。考えていても、不安しか見い出せない暗い思考をどうにかして欲しくて助けを求める。

「もしかしたらあっちでもトラブってのかもな」

今度は頭だけを寄せて撫でられた。彼のこういう所が一々狡い。捨てられたのでは無いかという不安を抱いてしまった私を安心させてくれる。

確かに彼奴だけが此処に来て私達……私を閉じ込めるなんて思えない。

悠馬の手を握る力を強くして、彼の肩口に顔を埋めた。

「……ごめん、ごめんなさい」

只ひたすら謝る事しか出来ない無能が何をしているのだろうか。悠馬は驚いたのか一瞬だけ撫でる手を止めたけどすぐに再開する。

「Aはなんもして無いだろ」

違う。違うんだ。都合の良い時だけ甘えてしまう自分が許せないんだ。話さなきゃいけないってずっと前から思ってるのに、言葉が出て来ない自分が嫌なんだ。大切にしてくれてるって分かってるのにキツイ言葉を浴びせてしまう口の悪さが嫌いなんだ。

手を握っている方とは反対の右手で彼の背中の体育着を握る。口を開こうとしても、震えるばかりで何も伝えられなかった。