【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ30)

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ねじれの位置が28つページ30

修学旅行も終わり、クラスメイトは楽しかったと感想を言い合いながら普通の日常を堪能している。といってもこの教室では普通の日常に暗殺という物がプラスされるから、なんとも言えない気もするが。

そんな5時間目の体育の終わり。次の時間は小テストという皮肉な休み時間の間。

私達は、体育倉庫に閉じ込められていた。

体育で使用した道具を誰かが片付ける様子は無くて、仕方が無いから私が運んでいた。2つある籠の内の1つを持って倉庫に向かうと後ろから重たい駆け音が近付いて来た。

「持たせて悪いな、手伝うよ」

同じ形の籠を持って隣まで来た磯貝悠馬はめげずに今日も笑い掛けて来る。というか、彼の奇行は修学旅行以来激しくなった気がする。
私は無言で重たい籠を抱え直して倉庫まで運んだ。

「悪いな重たいのに、何処か痛めてない？」

奥の方に重たい籠を置くと磯貝悠馬は優しくそう問い掛けてくれた。私は小さく頷いてから、外に出ようとした手を伸ばした瞬間。

「危ないっ！！」

磯貝悠馬のその声に驚いて彼の方を見たが、其処に彼は居なくて思い切り後ろに引き寄せられた。

「い゛ッ……！」

私では無い声がした。どうやら私を後ろに引き寄せたのは磯貝悠馬な様で無理矢理引き寄せたから尻餅を付いたらしい。それに加えて上から人1人分の体重と重力を加えられている。そりゃ痛い訳だ。

「チッ…気付かれたか」
「え……？」

倉庫の外からそんな声がした瞬間、光る何かがこの中に入れられた。それを確認した瞬間また後ろから思い切り横に身体を傾けられる。守ってくれたのだ。
それから、勢い良く扉を閉められた。何か細工をする音はするのに、此処から退く様な音はしない。声の正体は此処で私達を監視する気だ。

「大丈夫か？怪我は？」

磯貝悠馬は私の肩を叩いてそう尋ねて来た。飛んで来た何かを避けた為に横になった身体を起こして再度頷く。彼も身体を起こして自分の異常が無い事を確かめた。

「飛んで来たそれって……ナイフ？」

私達の右後ろにあるマットの上に乗るそれを確認すると、金属製の光る物に目を向ける。何があるか分からないから、お互い触ろうとはしない。

「なんでこんな所に…」

彼の言う通りだ。体育倉庫で道具を片付けている生徒にナイフを差し出して閉じ込める謎の人物。私は立ち上がって扉と同じ側面の底辺に付いている窓を開けて確認する。すると其処には。

「………なんで」

現実とは残酷で、神様とは無慈悲な物でした。