【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ23)

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ねじれの位置が21つページ23

京都の旅館に付いてから暫く。
ソファでバテている怪物を横に神崎有希子が何やら探し物をしていた。日程表を落としてしまったらしい。鞄の中に入れたのに落とした、なんていう言葉に違和感を感じたが何も言わなかった。
彼女の思い違いかもしれないし。

「でもご安心を。先生手作りのしおりを持てば全て安心」

それを持って歩くのが嫌だから纏めたんだろ。辞書の様で鈍器なあの物体を持ち歩くには女子中学生の肩は弱すぎる。

δ

「へー！祇園って奥に入るとこんなに人気無いんだ」
「一見さんお断りのお店ばかりだから、目的も無くフラっと来る人も居ないし、見通しが良い必要も無い」

茅野カエデの言葉に答える神崎有希子は穏やかな声でそう言った。

「だから私の希望コースにしてみたの、暗殺にピッタリなんじゃないかって」

私はカルマと顔を見合わせる。様々な暗殺の歴史がある中で態々祇園を選んだ。その応えは正しいだろう。だがしかし、人目に当たらない所にはそれなりのリスクがある。私は鞄を抱え直して遠くからする足音を聞いた。

「ホントうってつけだ。
なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」

やっぱり。確かに鞄に入れてあった筈の日程表が無くなるなんて可笑しい。誰かが何かを仕掛け無い限りそんな事有り得ない。カルマは青筋を立てて、振り向いた。

「……何お兄さんら？観光が目的っぽく無いんだけど」
「男に用はねー、女置いてお家帰んな」

制服の男が言った瞬間、カルマは其奴を殴り飛ばした。それが合図だ。

私はカルマの肩を思い切り掴んで後ろに跳ねさせる。その反動を借りて自分の体を浮かせて1人を蹴り飛ばす。カルマは跳ねた衝撃を活かしてターンを繰り出し、その勢いで1人を殴った。

「彼奴……喧嘩も出来んのかよ」

杉野友人がそんな呟きを地面に落とした。

「ホラね渚君、目撃者が居ないとこなら喧嘩しても問題無いっしょ」

そう言った刹那。