ねじれの位置が14つ ページ16
今日は月に1度の全校集会。エンドのE組には気が重くなるイベント、らしいが実の所今の私には関係無い。理由は只一つ。行ってないからだ。昼休みを返上してまで本校舎に向かった生徒達を横目に自分は飴の袋を空けて咀嚼する。カラリ、今日の味はぶどう味だ。
「サボりなんて頂けないなー小野寺ちゃん」
「アンタに言われたくないよ」
急に声を上げたカルマはストローを口の中に突っ込んでピンク色の液体を飲み込んでいく。それを横目に私はスマホを取り出した。
「何すんの？」
椅子を隣にまで持って来てスマホの中を覗き込む。彼が煮オレを離した瞬間にいちごの甘い匂いが鼻を掠めた。
「インスタ」
「小野寺ちゃんそういうのやってんの？」
「残念ながら」
暖色を貴重としたアプリを開いてやると驚いた様に目を丸くされる。
「あんまりそういうの興味無いと思ってた」
なるほど、私は最近の女の子と同類には思われていなかったのか。無言で画面をスクロールしているとカルマは途中で指を突っ込んで来る。
「これ可愛い」
彼がタップしたのは黒いセーラー型のスウェットで毒々しい苺の柄が描かれている。相変わらず彼の趣味には疑いを持つが、今はそれ所では無い。
「カルマに可愛いとかいう概念あったんだ」
「俺の事なんだと思ってんの？」
いや、てっきり面白いか面白くないかで判断する糞野郎だと思ってたよ。
「これ、何に合わせて着るの？」
今度は単純な質問をぶつけてみる。カルマは質問に答えるばかりで不服そうな顔をした後にいちご煮オレを飲み込んで声を上げる。
「普通に黒いプリーツスカートで良いんじゃない？女の子っぽくてさ」
こういう感じの格好してる子ってなんて言うんだっけ。普通にメンヘラファッション？？
鼻で笑ってやると、今度はわざとらしく目を開かれる。
「でも小野寺ちゃん、こういうファッション好きでしょ？」
ぐっ、口内にあった飴を飲み込んだ。隣で声を出さずに笑っているのを空気で感じる。別にメンヘラに抵抗がある訳では無い。カルマに指摘されたのが悔しいのだ。
「今度俺と遊ぶ時は着てきてね」
「アンタと遊びに行く事は無いよ」
今までも、これからも。私は溜め息を付いてインスタを閉じる。次の遊びを取り出した。巷では化石となっているらしいが電波が届きにくいこの場所にはうってつけだ。カルマもそれを見て自分の鞄からそれを取り出した。
少し昔にヒットしたゲーム機。それの名前は3DS。
今日もバトルが繰り広げられる。
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作者名：詩季 | 作成日時：2019年1月6日 19時
