【暗殺教室】ねじれの位置【磯貝悠馬】 (ページ15)

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ねじれの位置が13つページ15

続磯貝悠馬side

この先生の表情は意外と分かりにくい。感情は顔の色を使って表現している様だが、今の色はいつも通り黄色だ。瞳の大きさも、形も、口角の角度を全く変わらないのにいつもより一層柔らかい表情をしている。

「そんなに気負う事は無いですよ」

ニュルリ、触手が俺の頭の上から跳ねて元の位置に戻る。殺せんせーの顔を見つめたまま何も言えずにいても彼は俺の気持ちを読み取ってくれた。

「小野寺さんの気持ちは、正直先生もよく分かりません。
話し掛けても逃げられてしまいます。勿論暗殺にも来てくれません。

しかし、小野寺さんにだって気持ちはちゃんとあります。
そして先生はそれを聞き出してあげられるのは磯貝君だけだと思っています」

立ち上がった殺せんせーはやっぱり大きくて様子を伺う為の顔の角度は随分と変わる。

「…でも、俺よりカルマの方が仲良いみたいだし」

目を伏せるとその隙間から何かが零れ落ちた。

「確かに、表向きはそう見えます。
でも2人の関係はそう簡単では無いと思いますよ？」
「それは…どういう？」

やっとの思いで顔を上げると一筋の雫が頬に落ちた。殺せんせーはそんな俺にハンカチを渡して、更に言葉を紡ぐ。

「それを見付けるのは磯貝君の仕事です。大丈夫、貴方なら出来ますし、1人では無いですよ」

殺せんせーは俺が言葉を理解する時間をくれた。瞬きをしてから殺せんせーの顔を見つめ直すと新たな言葉を紡ぐ。

「君にも、小野寺さんにも、クラスの皆が居ます。烏間先生やイリーナ先生、それに先生もついてます。だから、そんなに気負わないで」

触手で頭を撫でられる感覚は、いつまで経っても慣れない。今までに触れた事の無い感覚。触れた事の無い温度。それにどんな効果があるかは分からないけれど、凄く安心する。

「ありがとうございます、殺せんせー！」

唇を精一杯引き伸ばして笑った。殺せんせーは凄い。言葉1つで俺を元気にしてくれた。言葉1つで人の気持ちが動く事を教えてくれた。

俺だって、Aの気持ちを動かせるかもしれない。