夢幻怪姫ビランキ ページ2
愛しのジャグラー様を探しているうちに、地球の日本という国に辿り着いた
「お嬢さん、見慣れない格好だね、よかったらお茶して...」
「わらわに気安く触るな!無礼者!」
触ってきたやつの手を捻じ曲げ、地面に叩きつけた
「こんの....女の癖に!」
ビランキは殴られると思い身構えた
「おい、俺の国にいて女に手をあげるたぁ、いい度胸じゃねえか....」
そっとビランキが顔を上げると、1人の青年が殴りかかってきていた男を呼び止めていた
「ひ....すいませんでした....ッ」
男達は手を引っ込め尻尾を巻いて逃げた
「大丈夫か?お嬢さん」
「あのぐらいならわらわは平気じゃ!」
ビランキはドレスの裾を払った
「にしてもお主、わらわの王子様にそっくりじゃ」
「そうなのか。おっと、私は有楽と言います。お姫様、もしよければこの国自慢の庭園をご覧になりませんか?」
少しばかり休憩したいと思っていたところだったので、お言葉に甘えることにした
庭園は大きな塀の中にあり、立派な椿の木と池があった
真紅と純白の椿は相対する位置に植えられていた
「この椿は、太陽と月を現しています」
ずっと庭の説明をしていた有楽の言葉の中で、この言葉だけが印象に残った
今宵はここへ泊まる事になり、日が落ちて月が庭を照らす中、ずっと椿を眺めていた
ざぁっと風が吹き、白い椿が池に落ち、波紋が広がる
あっという間に消えた波紋を見て、身を焦がすこの想いも、あのように消えてしまえば、苦しむ事も無かったのではないかと思う
「叶わぬ恋などと言わせぬ...あぁ...ジャグラー様...どこにおいででしょうか?」
柱の影から、椿を見てぼーっとするビランキを見ていた有楽は、ひと目で惚れてしまった彼女に将来を誓った相手がいる事を知った
「誰かが誰かに恋をする姿に惚れるなんて、マジで叶わねえじゃねえか」
つぶやいた言葉は月夜に消えた
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作者名:横峯俊 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=shun0911
作成日時:2022年1月10日 13時