口から出した ページ10
「今日は休みか何かなの」
ふつう大学生なら授業とか、Aさんなら部活があると思っていたからだ。
俺が
「そうだよ。聖臣は?」
「テスト期間」
「そっか、
沈黙。
気まずくはなかった。それが俺とあんたの関係だったから。
連絡をしていても、俺もあんたも部活があるし、会っても俺は自分からあまり話さない。
いつもの感じに、懐かしさを感じる。
少しした
「十人十色。みんな違って──」
「みんな良い」
最後の声があんたの声と重なって。あんたは俺を見てる。
「……今も、それでいいと思うの」
確認したかった。どこも変わらないでいてほしかった。
大学(どこ)に行っても春高であった時みたいに、あんたの卒業の日にビデオ通話をしたときと変わらない姿に、俺は少し安心したんだ。
でもその心配は
「うん、それでいいと思うよ。あたしはね」
──あんたは、あの日と変わらなかった。
今でも、その言葉を肯定する。それで良いという人だった。
「ねえ」
俺はあんたを見る。
「あんたが好き」
──俺が口から出した、あんたへの想い。
21人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵梗花(プロフ) - ななさん» お返事が遅くなり申し訳ありません。そう言っていただけてとても嬉しい限りです。お褒め頂けて光栄です。ありがとうございました! (2020年2月15日 22時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 超よかった!! (2019年10月21日 20時) (レス) id: 0e3f778cb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ