「愛してる」で塗り替えて【キヨ】 (ページ8)

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Seventh.驚きの眼差しページ8

Aside

好き"だった"。
いや、まだ好きなのかもしれない。
でも、どこかしっくりくる言葉だった。

レトくんは驚いた顔をして、そしてごめん、と涙が一筋、頬を伝った。

レ「っ、ごめん...ホントに...」

『ううん。いいの。レトくんのせいじゃない。レトくんに悲しんで欲しくて言ったんじゃないの』

一息置いて、キヨさんに話した過去を話し始める。

＊＊＊＊＊＊＊
Noside

少女は話し終えた。
今まで、お兄ちゃんのような存在だった少年には話していなかった過去。

少女は、少年が流す綺麗な涙を拭った。
白いレースの綺麗なハンカチに、灰色に近いシミができる。

『...ごめんなさい。泣かせるつもりは無かったの』

引くんだったら、引いていいから。
どこか諦めたような口調で少年に話しかける。

レ「引くわけないやん...っ」

『...ごめんね』

レ「謝らなくていいから...っ、ぐす」

鼻をすする少年の綺麗な涙は、止まることを知らなかった。

＊＊＊＊＊＊＊
少女は、今日も青年の家のインターホンを押した。

ドタドタと家の主は玄関へ出てきて、どーぞ、と少女を奥へ通した。

キ「で、今日はどうした？」

『彼と決着付けてきました』

キ「...で、どうだって？」

『貴方のことが好き"だった"と。そう言いました』

キ「...？だった、って」

青年は、心底不思議そうに首をかしげた。
前の彼女は、彼のことを考えているだけで、辛そうな、そんな表情になっていたのに。

『...貴方の、キヨさんの...ことを、好きになりたいんです』

キ「...え」

『...っ、でも...あの...まだ、レトくんことが好き、なのかもしれなくて...だから』

「"愛してる"で、私の心を塗り替えてください」

彼女は、顔を赤く染めながら、キヨの方を見てそう言った。

キ「...！...おう、やってやんよ」

青年は、不敵に笑った。

"第1章は終演よ"

"さぁ、第2章を始めましょう？"

開演ブザーの音が鳴る。