「愛してる」で塗り替えて【キヨ】 (ページ11)

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Second.寂しいページ11

キヨside

夕食を作り終わったのか、Aは俺を呼んだ。

準備を手伝うため、キッチンの方へ行くと、彼女がクスッと笑った。

何がおかしいのか分からなくて、不機嫌に"なんだよ"と呟くと、髪を指さされた。

『髪、跳ねてますよ。...ふふっ、ははっ』

キ「おい、笑うんじゃねーよ」

『だっ、て...んふふっ、ははっ』

笑うのを堪えているつもりなんだろうか、でも、全然笑っているのが分かる。

それさえも綺麗と思えてしまう俺も俺なんだろうな。

＊＊＊＊＊＊＊
Aside

キヨさんとご飯を食べ終わって、ゴロゴロしている。

キヨさんは、また編集をしていたので、キヨさんと何かをすることが出来ない。

私はスマホ(?)も持っていないので、ゴロゴロとする他無かった。

『んー...んー...』

キヨさんの邪魔をする訳にもいかないけど、どうにも構って欲しくて仕方がなかった。

『今、何時かな...』

時計を見れば、時間はまだ7時。
少し早いけどお風呂に入ろうかな、とお風呂を入れ始める。

今日寝間着も買ったので、下着と寝間着を持って、洗面所に行く。

『...あ、その前に』

とりあえず、忙しいとはいえ伝えないのも悪いかな、と思い、キヨさんの肩をトントンと叩く。

キ「ん？どした？」

キヨさんがヘッドホンを取り、こちらへ目を向ける。
忙しいはずなのに、優しい人だなあ。

『あ、お風呂先に入らせてもらいますね』

キ「ん、分かった。ゆっくり浸かってこいよ」

キヨさんはこちらへ手を振り、またヘッドホンをした。

＊＊＊＊＊＊＊
頭も体も洗い終わって、水を跳ねさせながらお風呂へ入る。

体まで浸かると温かくて、気持ちがよかった。

いつもこんなにゆっくり入ることは無かったし、第一、あまりお風呂にも入れなかった。

全ては私のせいだけど、ね。

レトくんから目を逸らしてここ1年以上をいろんな所を転々としていたけれど、やっぱり家があるのはありがたかった。

住まわせてもらう以上、やっぱりキヨさんに迷惑はかけられないし、家事でも何でもいいからお手伝いしよう。

役立たずって思われないように、必要とされなくならないように。

顔をぴちゃっと湯船に浸けて、自分に喝を入れて。

そっと湯船から立って、お風呂から出た。