First.青年との出会い ページ2
Noside
少女はただ、絶望していた。
人間にも、この生き物を生み出した世界にも。
少女は1人、キラキラとした街を歩く。
けれどそれは、少女の目には、どこか曇っている
ように見えたのだ。
少年が嬉しそうに話してきた、あの女性のことが、
少女は頭から離れなかった。
いや、離そうとしなかったのだ。
忘れよう、忘れようとしているのにあの女性への嫉妬の感情に脳が支配され、彼のあの顔を見ることが出来るのもあの女性だけだということに気がついてしまったから。
「お、そこの嬢ちゃん、暇なんか？わいらと遊べへんか？」
少し汚い作業服を着た男たちが少女へ話しかける。
だが、少女は応答しなかった。
応答できる余裕が無かったのだ。
そして、男たちが少女の腕を掴む。
「聞いとるんか？あぁ？」
それにも少女は応答しなかった。
そこへ、1人の青年が通りかかる。
「おいお前ら、人の女に何やってんだよ」
「あぁ？うっさいねん。お前には何も...」
男の1人が青年に突っかかり、怒鳴ろうとした。
怒鳴ることは出来なかった。
青年の攻撃が命中し、仲間の1人が倒れると、男たちは
少女から離れた。
「...おいお前、大丈夫か？」
『...大丈夫じゃ、ないです』
そのとき、初めて少女は言葉を口にした。
少女の口から、歌う小鳥のように澄んだ声が出れば、
たちまち青年は少女に興味を持った。
「...じゃ、俺ん家来るか？」
『...いいんですか』
「いいから言ってんだよ」
『...じゃあ、ついて行きます』
何をされるかも分からないのに、少女は青年へついて
行くことを選んだ。
それが、少女と青年の出会いだった。
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作者名：神風 | 作成日時：2018年2月3日 21時
