らくだい魔女 短編集

呪縛 ページ10

⚠︎一部暴力的な要素が含まれます｡ご注意下さい｡





なぁフウカ｡お前なら分かってくれるよな？




あたしと対峙する目の前のアンタは、



数年ぶりの満面の笑みを浮かべて言った｡



ねぇ､どうしてこうなっちゃったのかな｡



あたしのせいかな､チトセ｡




　







もう10日は過ぎたと思う｡



暗い地下牢に閉じ込められて、感覚がおかしくなってきた｡



じめじめして､外も見えない｡



すすけたドレスは､既に形を保っていない｡



昨晩もアンタに貪られたあたしの体はボロボロで｡



ただその貪欲に輝く群青の瞳から目を離せなくて。



あたしもあたしだよね｡

　

ひどくされて喜んでるみたいで､なんか変だよ｡



でも、あんた私がいないと何もできないんだねって



心の奥底では思っちゃう｡



可愛いねって｡

　







けど、わかってる｡



私は、王位継承権を持った正当な銀の国の第一王女で



アンタは第十三王子｡


あたしにはこんなところで幼馴染を可愛がっている暇は無い｡


アンタの執着に､かまってられる暇は無い｡



だから、ここを逃げなければ｡



魔法封じの手錠と首枷をなんとか引き千切り､



血だらけになりながら、要塞みたいな青の城の地下牢をかけた｡


途中、なぎ倒した、かわいそうな看守達は数知れない｡



けど、今はそんなことを考えてはいられないのだ｡



チトセから､逃げなくちゃ｡



最近のアイツはちょっとおかしい｡



逃げなくちゃ｡

逃げなくちゃ。

逃げなくちゃ｡



















パンッと軽い音がした｡



気づけば､もつれた足から血が溢れていた｡



銃で撃たれた｡



痛みと言う感覚は無い｡



もつれすぎたんだと思う｡



でも、誰が？



ゆっくり顔を上げる｡



どこまでも、どこまでも、深い群青色が私を見下ろしていた。



､､､いつ追いつかれた？

どうして？

背後は警戒していたはず。

逃げ場がない｡



､､､助けて！






「なぁフウカ｡お前なら分かってくれるよな？」




あたしと対峙する目の前のチトセは、
数年ぶりの満面の笑みを浮かべて言った｡



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