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青薔薇の誓い ページ8

青の城、英雄の間。

1人の勇者と悪のカリスマが対峙していた。

今や世間を騒がす金の城主、フウカ様。

迫り来る熱風に顔を伏せる。

彼女の作り出す火が、風が、全てが脅威となって降り注いでいた。

私は囚われている。

彼女の側近、目元を仮面で伏せている、深緑の髪の男。

どこかで見たことがある気がする。

この男、金色の何かを使うようだ。

その何かは、私の手に巻きつき両手を上に拘束した。

必死の抵抗さえ効かない。男は、私の力を完全に封じたのだ。

金色のピアスは、嘲笑うかのように揺れる。

私は主君を守れなかった。

時の神に顔向ができない。

国王陛下が戦っておられるのに。

我らが主君、チトセ様が戦っておられるのに。








「貴方、悪趣味よ。」

ふと聞こえた声に顔をあげる。フウカ様があの男に言ったのだろう。

一歩ずつ歩み寄ってくる。その瞳から私は逃げられない。

まるで金縛の様に。目を離す事さえままならない。

「可哀想に」

いかにも慈悲を込めたような言い方に拍子抜けしてしまう。

いや、今はそれどころではない。

チトセ様はどこにいる?

私の役割を果たさねば。

あたりを見回しても、人影すらない。

チトセ様はどこへ?

拘束が解かれ、縺れた足を引きずるようにして主君を探す。

足が腫れている。

先程の戦闘の影響だろうか。

動かない。

こんな大事な時に限って、無能な私は役に立たない。

「チトセ様はどこにおられるのですか。」

私はできるだけ冷静に、表情を隠して言う。

焦りがもし彼女に伝われば、負けだ。

彼女の前では、一切の不安や心配を心に宿してはいけない。

まるで心が見透かされてるように、言い当てられてしまうのだ。

「チトセなら、貴方を置いて逃げたわ。」

「そんなはずがございません。チトセ様はそういうお方ではありません。あなたが1番それをよくわかっておられるでしょう。」

追い立てるように言っても無駄だった。

彼女は口元に少し笑みを残して言った。

「さあ、選びなさい?私に従って国を裏切るか、逃げた国王のために、その命を閉ざすかをね。」

今まで、国を裏切るなんて考えたことがなかった。

チトセ様にも何か事情があるのだろう。

ただもしも私の価値が認められるならば、

この紅薔薇のように美しく気高い彼女に、

体という資本を全て差し出して、お使いしたいと思ってしまった私は罪だ。




「貴方のその気高き青薔薇の棘で、いつか私の息の根を止めて頂戴ね、セイラちゃん。」

黒百合→←金の剣



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カメレオン(プロフ) - 愛流鈴さん» ケイでいいよ爆笑 なんかもう、語彙力爆発しちゃってんな最高かよ!!いろんな目線で楽しませて頂いておりますよ✨ (5月20日 19時) (レス) @page9 id: 2d4ca43412 (このIDを非表示/違反報告)
愛流鈴 - カメレオンさん» うわぁぁお‼︎返信気づかなくってごめんね‼︎ ケイ!爽っ!カメちゃん、、、でいいかなぁ? 嬉しいコメントありがとう♡ だけどね私なんてカメちゃんの小説で常に栄養補給してるんだから← (5月12日 16時) (レス) @page5 id: 5c552e1b20 (このIDを非表示/違反報告)
カメレオン(プロフ) - あーちゃん久しぶりきたよーみたよー!!!!すっごいマジで感動した、チトフウ完成やねもう一生推すよ笑?あーちゃんの書くチトフウ本当好きです(告白) (2023年4月13日 22時) (レス) @page3 id: 2d4ca43412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:築山るな(元 愛流鈴) | 作成日時:2023年3月16日 13時

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