らくだい魔女 短編集

残雪 ページ5

ビアンカ様へ。


最近のあなたはいつも楽しそうです｡


可愛らしい鈴の音が聞こえるほどコロンと笑う笑顔とか



ねぇねぇ､と上目遣いに見てくる透き通ったアイスブルーの瞳とか



いつにも増して､軽やかなステップを踏みながら僕に話しかけるのです｡


普通の男なら､イチコロでしょうね。


あなたは気づかなかっただろうけれど、


僕は、あなたを1番近くで見てきたから､


主従関係の立場であるとわかっていながらも､


あなたに寄せる思いを隠し切ることはできませんでした｡



､､､けれどあの日｡


あなたは楽しそうに笑顔見せて､僕の知らない男の人を連れてきましたね｡


彼氏なの♡､と｡


本来なら､僕は笑顔であなたを祝福する立場です｡


そうですか！おめでとうございます、と。


でも僕は､曖昧な反応しかできませんでした｡


あぁ､ビアンカ様｡


僕じゃあダメですか｡


どうしてですか｡


人間じゃないからですか。


僕が化け物だからですか｡



そう思わずにはいられませんでした｡


､､､でも｡


あなたは、僕にこう言いましたよね。


「マリアンヌ｡貴方は優しいし､強いし､かっこいいし､大好きだけれど､“彼氏”という感じではないの。ごめんなさい｡」



「私はあなたに守られたいんじゃなくて､私はあなたを守りたいのよ｡」



「ねぇ｡私の弟にならない？」



















　

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「ご結婚､おめでとうございます」
　

「ありがとう！マリアンヌ‼︎」






ビアンカ様｡いいえ､お姉様｡


僕はどんな形であれ､貴方を守る盾となり、矛となるでしょう｡


貴方に恋なんて､少しばかり夢を見過ぎてしまいました｡


でも､もうとっくに覚めました｡


僕は守る為にあなたのそばにいることを､


忘れていたようです｡


だから､僕はあなたを守りたいんです｡


あなたの大切な人や物を､僕が強くなって守るのです｡


それが僕の使命です｡


それが僕の役割です｡


たとえどんなに強大な敵が立ち塞がったとしても


必ずや護り切ります｡







この命に代えてでも｡

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