No.121 ページ50
威風堂々、正に言葉の通り颯爽と体育館に入る白鳥沢のメンバーを見ながら昨日のことを思い出していた。私たち3人のマネージャーで作った資料を元に展開されたミーティング。分厚い資料を見て皆げんなりとしていたけれどマネ達が作ったと聞いて皆少し感嘆しているような、というか感動しているような？雰囲気で特に田中と西谷は潔子さんにいつも通り異常な程盛り上がっていたし日向も仁花ちゃんに興奮した様子で感謝を伝えていた。
澤村｢川崎も！ありがとな｣
『……イエ、ドーイタシマシテ』
菅原｢褒められ慣れて無さすぎだろ｣
照れてやんの、とからかってくるスガさんをフイ、と無視していれば話が進んでいく。
個々を極めるスタイル。調べて、聞いていた通り、ウォームアップでも一人一人の放つ威力が桁違いだ。
白鳥沢を受けて、でも結局烏野を選んだ私は小さな頃、宮城に来る度に一繋さんについて回っていたから鷲匠監督とも面識があって……。私は勝手に少し気まずかった。多分、繋心くんも。
ウォームアップの隙間、仁花ちゃんに救急箱の中身で切れそうな物の報告を受けている時、仁花ちゃんが私の後ろを見てピィッ…と情けない音を出した。
ピィって…と思って苦笑しながら振り返ると思ったより威圧感。
『う、牛島さん…』
牛島｢…川崎Aだな｣
『は、はい…』
牛島｢久しぶりだな。覚えているか｣
『あ、はい。お久しぶりです。…2年ぶりぐらい…？』
牛島｢あぁ｣
牛島若利。U18の日本代表選手。ということはもちろん、過去ユース代表候補入りしていた過去を持つ私ともそれなりに接点があるわけで。あぁ、なんかすっごい昔のことに思えてきた。ほんとにユース入りしてたの…私。感覚がかなり一般人に寄ってきているのを感じる。
牛島さんはチラリと仁花ちゃんを見て口を開いた。
牛島｢身体のことは聞いた。…そうか。今は、烏野でマネージャーをしているのか｣
『…はい。牛島さんは、U18代表入りしてましたよね、見ました。おめでとうございます』
牛島｢………あぁ。…川崎は、｣
『はい？』
牛島｢いい選手だった。残念だ。…続けていればお前もきっと、代表入りしただろう。………立場は違うが、お互い頑張ろう｣
くるりと踵を返してたったった、と白鳥沢の選手たちが集まっている方へ走っていく牛島さん。チラリと心配そうに見てくる仁花ちゃんに、どこか心あらずで気にしないでと声をかけた。
今、どんな顔をしているのだろう
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