No.114 ページ43
山口のサーブで逆転、セットポイントまで迫るも、惜しくも第2セットは28対26で青城に取り返された。
『ぐぅ…フルセット…』
嶋田「クソ〜…3セット目…しんどいぞ」
因縁。去年は何の関わりもなかった。男子が強いとこ、ぐらいの印象。それが今年に入って既にフルセット、時には30点代にまで入っての濃密な接戦を2度。そして、これで3度目。ここを越えなければ春高、ましてや決勝に駒を進めることは出来ない。
長く、苦しく、集中が保たれているのが不思議なくらいのラリーが続き、緊迫したコート内の空気が我々まで侵してくる。
迎えた第3セット、互いに20点目。再び投入される山口にこちらの興奮もボルテージを上げる。
そして、至極落ち着いた様子で打たれたサーブは16番へ真っ直ぐ伸び、他同様オーバーで捕まえようとした16番の手元で伸び、後ろに足を伸ばす。
決まった、と思って冴子姉さんと仁花ちゃんが声を上げるも岩泉さんのフォローによってコートに戻るボール。
滝ノ上「うお!?繋ぎやがった!」
『それ、上がんの…』
チャンボとして返ってきたボールを丁寧にセットして、シンクロ攻撃で旭さんがそれを打った。完璧だと思われたそれをまたもや岩泉さんが拾う。
『っ〜…!かっこいいなぁおい!』
その後のスキを突いたような3番のフェイントで21点目を重ねられ、山口のサーブを切られる。烏野が22、青城が23と点を互いに重ね、冴子姉さんがふと口に出す
冴子「これ、またデュースになったら2点差…」
嶋田「いや、そんな悠長なこと言ってらんないぞ…」
『ここで………及川さんのサーブ…』
青城のカウントは23。あと一点でセットポイント。そして、あと2点で私たちの、敗北。
ふぅ〜…、と震える息をゆっくり細く吐く。お願い、1本で切って。
その願いも虚しく、放たれた1本はノータッチエースを決めるものとなった。
嶋田「…………マジかよ…」
タイムアウトが開けて、もう一度打たれたその強烈な一発は大地さんが完璧にAパスを通す。そのまま旭さんが決めて、23点目を入れる。
冴子「よっしゃあ!」
滝ノ上「及川のサーブ切った!」
喜びも束の間、状況は変わらず青城のセットポイント。そして、ローテーションの仕組み上ここで西谷がコートから退出。
冴子「おおっ!ここで戦術的ワンポイントツーセッターか!」
『好きですね、ソレ…』
スガさんが月島と交代で入り、マッチアップが変わる。ここをしのがなければ勝利はない。
『………お願い、スガさん…!』
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