番外編2 ページ33
借り物競争に出場する選手の皆さんは入場門に集まってください、のアナウンスが聞こえ、成田、縁下に起立を促される。
『ブッチギリ1位行ってくるわ』
縁下「予行練習でガチるな」
『白組に勝利をもたらします』
成田「頼んだ!本番もな!ついでに4組のクラス優勝ももたらしてくれ」
『任せな〜?』
ふりふり、と軽く手を振って入場門へ整列する。予行練習なので前から数列だけが走るのだが、私は最前線なので確実に走る。そして当たると困る例のお題『好きな人』も初っ端に来ることは無いだろう。これはフラグではなく考察。
係の子の笛に合わせて小走りでスタート地点に移動させられあれよあれよと位置に着く。
グラウンドを見回せば1年のテントにも見知った顔がいくつか。日向なんて目をキラキラさせてこっちを見ている。別になんもすごいことしないよ〜。長袖長ズボンに白のバケハの茶髪女は目立つのでそこかしこで川崎〜!とかAちゃ〜ん!と同級生はもちろん下級生上級生からも声援が聞こえる。人気者は困っちゃうわね!フンフン!
位置について、ようい、の声に合わせスタンディングスタートの用意をして、前傾姿勢をとる。ピストルの音と同時に駆け出して、スタートダッシュは完璧。
借り物が書かれているパネルの場所に1位で到着して、意気揚々と開くとそこには白いバケットハット、なんていう都合の良いお題…は書いておらずまさかの危惧していた題が。
慢心だ、初っ端にあると思わなかった。嘘だ、どうしよう。
私の手の中にあるパネルには『好きな人♡』の字が。
予行練習だから繋心くんも来てない。家族愛として好きで〜す♡は使えない。というか去年、男子生徒がコレを引いて男友達数人を引き連れてコイツら大好き〜!などと言った暁にはボッコボコのブーイングだった。意気地無し〜!と言われ挙げ句の果てには本当に好きな女の子に公衆の面前で告白させるという鬼畜っぷり。それは避けたい。本当に好きな人どうこうは関係ないけどとりあえずブーイングは喰らいたくない。
おっと、川崎選手固まってますね?これはもしかして…?のアナウンスの後女子7割男子3割ぐらいの色めきだった声援が私を包む。
『…っ大ピ〜ンチ……』
パネルを持って固まってしまった私に周りは察してしまったようだ。さて……。ど、どうしよう……。
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