No.87 ページ13
『んゃ〜〜〜！！！取れると思ったのに！』
ホイッスルが鳴ると一気に身体の強ばりが解け、がくんと肩が落ちた。
恐るべし梟谷。
恐るべし東京。
恐るべし、全国レベル。
くぁ〜…と悔しさから言葉になっていない音を口から出していると隣でも仁花ちゃんが落胆していた。
谷地「あぁっ……」
『まだ敵わないかぁ…』
清水「でも攻撃は通じてた…」
すかさず入った潔子さんのフォローに少し気分が浮上する。確かに、勝てると思ったからここまで落胆しているわけで、……勝てると思ったってことは私たちのバレーが通用していたから、ということだ。
「確かに…！」
『大健闘の末、オールゲームペナルティー、と…』
谷地「あはは…」
清水「私たちも少し休もうか。脱水症になってもいけないし。」
『はあい』
谷地「ハイ！」
長いようで短かった合宿期間も全日程を終了しようとしている。
ただの女子高生である私には刺激になったし楽しくもあり選手にもなにかしら良い変化が訪れている。
『でもまさか…』
一番賑わうのが、最後の食事。…BBQだとは…
『誰も思わないね…』
雀田「あ、Aちゃんおにぎりもこっちある、アレ！？ない！！！アッ雪絵！？」
『あはは…私ごはんは遠慮しますね、夏バテ気味なので野菜を…』
縁下「ほら。食え」
『え、アレ？あ、うん。お、お肉は要らないんだけど…あとごはんも…』
縁下「大地さんと音駒の主将が持ってけって」
『あ、……そう…』
遠い目をしても変わらない、目の前にある皿の上にこんもり乗せられたお肉とご飯と申し訳程度の野菜。黒尾だけならともかく大地さんからなら本人に突き返すわけにもいかない。二人とも多分純粋に栄養不足やらを心配してよそってくれたのだから。いや、若干親せきのおじさん的な揶揄いが含まれているような気はしないでもないが。
『まぁ食べれないものは食べれないけど！！！』
フン フン！と引きつった笑みを浮かべて威張る。
誰か話しかけてくれ。そして、あわよくば私のこの皿の上の肉を奪っていってくれ…
そちらこちらで木兎さんやリエーフくんが肉をヒョイヒョイと奪ったりしてしばかれているのをジ………と念を込めて眺める。
そっちじゃなくてこれ…これを…私のを食べてくれ………
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