お前の隣は俺だけがいい (ページ6)

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隣にいるからページ6

翌朝、ボスの部屋で目を覚ました私は鈍い痛みが響く腰を抑えながら、キッチンに向かった。葛葉とへしこがバーガーを食べてて、朝から元気だなと感心する。冷蔵庫から出した水を飲んでるとニヤついた目で見てくるへしこがうざくて葛葉の脇腹を殴る。

「痛ってぇ、何で俺なんだよ。」

『そこに居たのが悪い』

「機嫌悪すぎだろ。どしたの？」

『朝、一人で目覚めるの嫌だ』

「しょうがねぇじゃん、ボス忙しいんだから」

『分かってる』

何か食べる気も起きなくて、毛布を被ってソファに沈んだ。そしたら、葛葉が隣に座って来て私の肩に腕を回した。私はそれに甘えて彼の胸にもたれる。

「朝食べねぇの？」

『めんどくさい』

「これ食え」

口にポテトを突っ込まれて、大人しく咀嚼する。葛葉は餌やりしてるみたいと言いながらポテトが無くなるまで餌付けを続けた。

『喉乾いた』

「自分で取ってこいよ」

『コーラひと口ちょーだい』

「もー」

そう言いながらもくれるのが葛葉。私が少し落ち込んでると慰めてくれるのも葛葉。気づけば隣に居て笑顔にしてくれる存在。

『葛葉、ありがと』

「おー、コーラもう一口いる？」

『うん』

―――

雷が轟く、激しい雷雨の夜。風に煽られた木が窓を叩いて私が眠りに落ちるのを邪魔する。

この組に入る前、こういう天気の日は傘もささずに気の済むまで雨に打たれるのが好きだった。身体を打つ雨と共に私の汚れも落ちていく気がしたから。

少し、少しだけ外に出たい。雨を一目見て帰ろうと思った私は何も持たず早足でアジトから飛び出した。

気づけば、雨に打たれながら道を当てもなく歩いていた。ここは、病院の近くか。ここら辺で引き返そうかと思った時、道路の向こうから不気味な音楽と共にスクーターが段々と近づいて来るのが見える。

「だ、大丈夫です？」

『大丈夫です』

「え、A！？何してんすか、傘もささずに」

『ありさんもびしょ濡れじゃん』

私の言葉に気まずそうに頭をかいたありさん。私は何を思ったのか彼の後ろに乗り込んだ。彼も、何も言わずにスクーターを発進させた。雷雨の夜の、ドライブが始まった。

街の大分北の方まで来ると、空が薄らと明るくなり始めた。昔、よく薬を作る時に使っていた小屋を見つけて、彼の肩を叩く。

『あそこ、入ろ』

「いいですよ」

私は小屋に入ると、びしょ濡れになって気持ち悪くなってきた服を脱ぎ捨てた。