連れ込む女 ページ5
ベランダの柵にもたれながら煙草を吸う葛葉の腕をそっと掴む。葛葉は俯くと、そっと口を開いた。
話してくれた内容はこうだった。アジトに帰ってきた葛葉がまず目にした光景は女に銃を向けられているローレンだった。葛葉はすぐさま銃を取り出し女に向けた。女の手にはスマホが握られていてそこに映ってたのはGODfamilyと手を組む情報屋の一覧だった。
女の要求はボスをここに連れてきて殺す事だった。葛葉はそれを聞いた瞬間、トリガーを引いてしまったとのこと。ローレンは、殺したのは自分では無いが原因を作ったのは自分だから、自分がケジメを付けに行くと出ていったらしい。
エレベーターの扉が開く音がして、リビングに向かうと、松葉杖をついたローレンをボスに支えられながら立っていた。ローレンは私を見ると頭を下げた。
「もう、女をアジトに連れ込みません！すいませんした！」
だるまはローレンに事情を知らされたようで、さっきよりかは穏やかな顔をしてた。私はローレンに近づくと包帯が巻かれてる腕を少し強めに握った。
「い"ったい」
『葛葉にもちゃんと謝りなよ』
「うん」
後日、共用の車をローレンが使った後にじゃすか使用済みのゴムを見つけてボスに告げ口されていたのはまた別の話。
ハニートラップでも、本番ありとなしでは疲れ度合いが全く違う。だから、本番ありの日は誰かが迎えに来てくれる決まりになっている。今日はじゃすが迎えに来てくれる日。車に乗り込んで、煙草に火をつける。
「お疲れ様」
『うん、疲れたぁ』
「アジト直行でいい？」
『そうするしかないしねぇ』
「そんなにボスとするの嫌？」
『んー、嫌ってわけじゃない。疲れる。』
本番があった日は、帰ると直ぐにボスに部屋に連れていかれ、朝まで寝かせて貰えない。前に一回、そのまま他の男の所に行った時は暴走して大変だった。その時のアジトの有様を思い出して帰るとこを決意する。
『ただいま』
「ん、おかえり。ボスが部屋で待ってるってー」
『はーい』
ソファで銃の手入れをしていた葛葉にそう言われ、おとなしく部屋に向かう。そこまで遠くない部屋までの道を少し時間を掛けて歩いた。
部屋の扉を開けると、部屋に充満した煙草の煙と鼻につく薬の甘い香りが押し寄せて来て頭が眩む。いつの間にか私の前に立っていただるに唇を奪われて、ベットに押し倒される。ギラついた彼の目は据わっていて。私は諦めて、彼の首に腕を回した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あられ | 作成日時：2023年8月3日 11時
