タイミング ページ3
身体を隈無く愛されて、二人とももう我慢の限界を迎えた時、着信音が鳴り響いた。
「Aのだよ。」
『誰から?』
「ボス」
『じゃあ、出なきゃだね』
イブから携帯を受け取って、少し強めにボタンを押して電話に出る。
『もしもし?』
「ごめーん、やらかした。警察署まで迎え来て〜」
『また?ちょっと時間かかるから、待ってて』
「すまん。まじですまん。」
電話を切って、散らばった服を拾う。次いつこうやって会えるかも分かんないのに。
「A?次、会える時連絡するから大丈夫。」
『すぐ?』
「分かんないけど、多分すぐ。」
『分かった』
イブは私にとって兄みたいな存在で、一緒に過ごす時間がとても心地いい。そんな時間を奪われて落ち込むのは当然で、イブもそれに気付いたのか私の頭を撫でて慰めてくれる。
「じゃ、ボス迎えにいくか」
『うん』
警察署に着き、二人でボスを迎えに行く。受付の人は私たちの顔を見ると何も言わずに留置所まで連れていってくれる。
「A〜、ごめ〜ん。保釈金500万。」
『だるまにしては安い方なんじゃない?』
「俺、金払って来るわ」
「うん。イブありがと」
「イブラヒムと二人でおったん?」
『そうだよ。最高なタイミングで誰かさんが電話掛けてきたから台無しになったけど。』
「すまんて。でも、良かったわ邪魔出来て。」
『さいてー』
そんな会話をしてるとイブが戻ってきて、警察が扉を開けてくれる。
「あれ、イブさんって医者じゃなかった?ギャングと一緒に居て大丈夫なんですか?」
「まあまあ、これで何も見なかった事にして下さいよ。」
そう言ってイブは警察の手に札束を握らせる。警察は何も言わずに札束をポッケにしまって帰っていた。
『素直な警察はいいね』
「良かったわ。さささんとかじゃなくて。」
タワマンの前まで送って貰って、イブとお別れする。私はオープンカーの運転席の方に回ってイブの頬にキスをする。
『連絡待ってる』
「次もあれ着けてきて」
『勿論』
だるまと二人でタワマンのエレベーターに乗り込む。二人きりになると、腰に手を回してくるのが彼の癖で、もう二年も一緒に居ると慣れてきた。
「ん?ガーター着けてる?」
『うん、イブが好きなんだよね』
「俺も好きやねんけどなぁ」
『えろかったらなんでも好きじゃん』
「Aが着けるからやんかぁ」
扉が開いて、見えたのは廊下に倒れる頭を撃ち抜かれた女だった。
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作者名:あられ | 作成日時:2023年8月3日 11時