日陰少女の日向坂記録 (ページ10)

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助けるページ10

nao side

菜「助ける……？助けるって、どういうことなん？」

「えっと、あの」

愛「大丈夫。ゆっくりでいいから……聞かせて？」

「……うん。あのね……」

それから、ゆきちゃんにざっくりとしたことを聞いた。

ゆきちゃんはまだ幼いし、当事者ではないから本当におおまかなことしかわからなかったけど、やっぱりそれは本人の口から聞くべきやと思うし、むしろ良かった。

ゆきちゃんによると、

・Aとゆきちゃんのお母さんは、ゆきちゃんが物心つく前に亡くなった

・ある日突然お父さんが怖くなった。

らしい。

多分、ゆきちゃんは知らないんだろうけど……Aは、虐待されてたんちゃうかな。
いや、知らないんやなくて、Aがゆきちゃんを守って、ゆきちゃんに被害がいかないようにしてたんやろ。

じゃああの時怯えとったのは……お父さんと美穂が重なったんか。

それでも……どうしてああまでして守ろうとするんか、やっぱりわからへん。

それに……詳しいことだって、この情報からだけやとなんもわからん。

愛「それで、Aを助けるって、Aは今危険な状態なの？やっぱり、お父さん？」

「んーん。おとーさんはもういないよ」

……いない。死んだんか

「あのね、おねーちゃん、前言ったの。まなもちゃんとなおちゃんの話しながら、ゆきがまなもちゃんのご飯たべてるとき」

菜「なんて言ったん？」

——『……ゆきにはもう、わたしは必要ないのかもしれない』

「って、小さい声で。たぶん、ゆきに聞こえてないと思ってる」

愛「……そっか」

「ゆきには、おねーちゃんが必要なのに。おねーちゃんしかいないのに」

そう言うゆきちゃんは、酷く悲しそうで。

「……このままじゃ、おねーちゃんひとりぼっちになっちゃう……」

菜「……ん、わかった。任せとき。なおとまなが、Aを助けたるから」

「……ほんと？」

愛「うん。大丈夫。ゆきちゃんは、今まで通り、お姉ちゃんのそばにいてあげて？
それと、たまになにか聞いたりするかもだけど、大丈夫？」

「うんっ！まなもちゃん、なおちゃん、ありがとう！」

満面の笑みでお礼を言うゆきちゃんに心が和む。

覚悟しといてや、A。

絶対、ひとりになんかさせてやらんからな。