知りたい同期 ページ6
manamo side
第一印象は、不思議な子。
顔はすごく整っていて、かわいい。でも、なにかを背負って、抱え込んでいるような、少し暗い目をしていたから。
だから、自己紹介の時。ゆきちゃんの手をぎゅっと握りながら話すAに、私が一番最初に声をかけた。
愛「よろしくね、Aちゃん!」
『……よろしくする気は、ないです。わたしのことは、空気か何かとでも思っておいてください』
あれは、びっくりしたなぁ。
それでも、ゆきちゃんへの態度で、本当はすごく優しいんだろうなぁ、っていうのを知ったから。
だから余計、気になるんだ。
菜「……なあ、まな」
愛「なぁに、菜緒」
菜「……Aの、ことなんやけど……」
愛「……うん。私も、色々気になる。……でもなにかを聞こうにも、そもそも会話が成立しないからなぁ……」
菜「うーん……なんか、Aが話してくれそうな話題とか、ないんかな」
それを聞いて、ピンときた。
愛「……ゆきちゃん」
菜「え?」
愛「ゆきちゃんと仲良くなるのは?
ゆきちゃんが信頼している人なら、Aも信頼するかも」
菜「……確かに」
愛「それに……ゆきちゃん、すごくかわいいし」
菜「やんな……あの笑顔は天使」
そうしてゆきちゃんを呼んで、Aが来るまでの間話した。
「まなもちゃんは、お料理がすきなの?」
愛「うん、結構好きかな」
「そっか!おねーちゃんよろこぶかなぁ」
菜「どうして?」
「おねーちゃん、ハンバーグがだいすきなんだよ!
ゆきもね、おねーちゃんのハンバーグすき!」
愛「そうなんだ」
その後、Aにお願いがあると言われた。
愛「それで、お願いって?」
『……その』
『……料理を、作ってもらえませんか?』
愛「……料理?」
『わたしにじゃなくて……ゆきに
わたしは、料理……作れないから。
でも、ゆきには、ちゃんと栄養のあるものを食べさせたいんです』
愛「作れない?」
『と言っても、技術的な問題ではないんですけど……とにかく、作れないんです』
愛「……それは、なんで?」
『……言わなきゃ、だめですか?』
愛「……ううん。言いたくないなら、いいよ。
わかった、そのお願いは聞くけど、私からもお願いしていいかな?」
『……なんですか?』
もっと、知りたいと思った。
もっと、知ってほしいと思った。
信頼してほしい。
頼ってほしい。
だからまずは、第一歩。
愛「私のこと、名前で呼んでほしい。だめ?」
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123 - テスト (2021年12月1日 22時) (レス) id: 3aa6a8a473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年11月6日 18時