夢 ページ32
your side
久々に、悪夢以外の夢を見た。
穏やかに笑っているお母さんが、目の前に立っている。
『……お母さん』
けれど、触れようと手を伸ばしても、なぜか届かない。
すぐ近くにいるのに。
『……お母、さん……?』
お母さんは困ったように笑っている。
『……そっか、これは、夢なんだね』
——だから、触れられないんだね。
そう言うとお母さんは、ゆっくりと、歩き始める。
けれど、止めようとは思わない。
そのまま見送ろうとして……言い忘れたことがあるのに気づいて、急いで口を開き、叫んだ。
『お母さん……ありがとう!大好きだよ!』
——お母さんも、大好きだよ、A。
ゆっくりと振り向いたお母さんが、そう言った気がした。
『……ん……ここは……?』
目を開けると、見慣れない天井。
『あぁ、わたし昨日……』
そっか、あのまま寝ちゃったんだ。
隣を見ると、小坂さんが寝ていた。
『……やっぱり、なんだかお母さんに似てるなぁ……』
欲望に負けて、寝ている小坂さんにぎゅっと抱きつく。
少し恥ずかしいけれど、小坂さんは寝ているし、バレなければ……
菜「……かわええことするなぁ」
『っ!?』
菜「おはよ。よく寝とったなぁ」
『な、小坂さん、起きて、いつから……っ!?』
菜「寝たふりしてただけで、もっと前から起きてたで。したらAが抱きついてくるから、かわいくて寝たふりやめたんよ笑」
『〜〜〜っ!?!!?//////』
羞恥に悶えていると急に扉が開いた。
「おねーちゃんおはよー!……あれ?顔まっかだよ?どうしたの?」
『なんでもないよ……///
というか、どうしたの?』
「あのね、まなもちゃんがお話があるって」
菜「まなが……?」
小坂さんとリビングに向かう。
愛「ああ、起きたんだ」
菜「それで、話ってなんなん?」
愛「それが……あのお母さんのノートに、紙が挟まってたんだけど……」
『紙……?』
まなもさんから差し出された紙を見ると、
菜「『Aへ、最後の発言に関して。成長したAならきっと届く、宝箱の中』……?」
『……』
愛「これ、Aならわかるかなって思ったんだけど……」
『……これについては、わたしの過去を知ったほうが手っ取り早いと思います』
菜「……え?」
『今からお話します。……わたしの、過去のこと。これまでに、なにがあったのか、全部』
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123 - テスト (2021年12月1日 22時) (レス) id: 3aa6a8a473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年11月6日 18時