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愛「『Aへ。
Aがこれを読んでいる頃には、お母さんはもうこの世にはいないのでしょう。
……なんて、ありきたりな書き出しかな。
まずは……ごめんなさい。
Aよりも先に、死んでしまって。
死んでしまうとわかっていながら、Aにたくさんの思い出を、私との記憶を残していってしまって、ごめんなさい。
ねえ、A。今、Aの隣には、誰かいるでしょう?
ゆきじゃない誰か』」
『え……?なんで……』
Aが驚いた声を上げる。
なおも驚いた。だって実際に、今Aのそばにはなおとまながおるから。
まなが続ける。
愛「『え?なんでわかったかって?
なんでだと思う〜?』」
菜「……お母さんユニークな人やな。遺書でこのテンションって……」
愛「『ゆきにね、言っておいたのよ。
これは、ゆきが本当に信頼できる人にしか見せちゃだめだよ、そうじゃないとお姉ちゃん怪物に食べられちゃうからね、そういう人ができるまで、これはお姉ちゃんにも見せちゃだめだよって。
だから、今Aの隣にいる人は、きっとゆきが大好きで、信頼していて……そして、Aも大好きな人なんだろうね。
Aのことだから、どうせAが信頼できて人としてある程度好きな人じゃないとゆきと関わるの許さないでしょ?
それに、Aがよっぽど大好きな人じゃないと、私からの手紙を一緒に見たりしない。
だから今Aの隣にいる人や、ゆきが今関わっている人たちはAが大好きで、尊敬していて、信頼している人。違う?』」
菜「え……?」
まなもなおも一斉にAの方を向く。
Aはぷいっと顔をそらしたけど、髪から覗く耳は真っ赤に染まっている。
……いやA、メンバーのこと大好きやん。ゆきちゃんメンバーみんなとめちゃくちゃ関わってるけど。
愛「『でも、やっぱりAのことだから、きっとその人たちみんな、遠ざけてるんだろうね。
また大切な人を失うのが怖いんでしょう?
Aは昔っから、怖がりで、臆病だったから。
でも、大切な人を失う悲しみを与えてしまったのは、お母さんだね。
お母さんが余命宣告を受けた日から、Aは私を「お母さん」とは呼んでくれなくなったね。いつも、「母さん」って。
私が約束なんてしちゃったからかな。強くなろうって、約束を守ろうって、Aなりに頑張ってくれたんだよね』」
『……』
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123 - テスト (2021年12月1日 22時) (レス) id: 3aa6a8a473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年11月6日 18時