日陰少女の日向坂記録 (ページ26)

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手紙ページ26

nao side

愛「ゆきちゃんは……？」

『お腹いっぱいになったみたいで、ぐっすり寝ちゃいました。……困ったな、ゆき一回寝たらなかなか起きないのに……』

愛「使ってない部屋あるから、寝かせてあげて。お布団出すね」

『え、でも……』

愛「いいから」

『……すいません』

まなが布団を敷きに部屋をでる。

「んん……おねーちゃん……えへへ……」

『ん？寝言……ふふっ』

Aが一瞬驚いた顔をして、その後すぐに頬を緩める。

菜「……かわええなぁ」

『……まあ、はい』

菜「笑顔、やめんくてもよかったのに。あと、『かわええ』って、ゆきちゃんもだけど、Aもやで」

『は……？なに言ってるんですか』

菜「ゆきちゃんといるときのA、めちゃくちゃかわええよ。にっこにこしてて」

『……冗談はやめてください』

愛「お布団敷いたよー」

『……ありがとうございます』

そう言って部屋を出て、またすぐ戻ってきた。てっきり、そのままゆきちゃんと一緒におるとおもっとたから少しだけ驚く。

菜「ゆきちゃんはええん？」

『ちょっと……聞きたいことがあって。……まなもさんに』

愛「私？」

Aがこくりと頷く。

『あのハンバーグ……母さんの味そっくりそのままでした。でも、母さんのハンバーグは、隠し味とか、タネの段階から色々やったりするから……普通に作ってあの味になるはずがないんです。なんで、作り方を知っていたんですか？』

愛「ああ、それは……」

そう言ってまなは一冊のノートを差し出す。

『ノート……？……っ！』

一ページ開いたAが目を見開いた。

『これ……お母さんの字……』

さっきまで『母さん』呼びだったのが『お母さん』になっとる。『母さん』は、無理して呼んどるんかな。

愛「ゆきちゃんにね、お母さんのハンバーグの味わかる？って聞いたの。そしたら、このノートを持ってきて……」

『これ……料理のレシピ……って、え……！？』

ぱらぱらとページをめくっていたAの手が、急に止まる。

そこには……。

菜「……手紙？」

最後の数ページに、びっしりと、文字が書かれていた。もちろん、料理のレシピじゃない。

一番上には……。

『ゆきへ……これ、ゆき宛の……』