日陰少女の日向坂記録

捜索 ページ13

nao side

愛「Aの行きそうなところって、どこだろ……」

菜「わらへん。とりあえず、手あたり次第探すしか……」


『……お母さん……』


愛「っ！これっ！」

菜「Aの声……」


Aの声がした方に向かうと、トイレの目の前でAが倒れていた。


愛「Aっ！！」

菜「息っ、はしとる……っていうか体あっつ……」

愛「……酷い熱。早く、病院……！」

ス「どうしたの？」

菜「スタッフさん！実は……！」


たまたま通りかかったスタッフさんにお願いして、車で急いで病院へ向かう。

『げほっ、げほっ……お母さん……くるし……』

菜「大丈夫。大丈夫や」

寝言で何度も『お母さん』と呼ぶA。

『お母さ……わたしは、いいから……ゆき……げほっ』

菜「……こんな時でも、夢でも、ゆきちゃんを優先するんか……」

愛「Aにとって、ゆきちゃんって、なんなんだろうね……」

ス「着いたよ」

菜愛「「ありがとうございます！」」




結果は、風邪だった。

疲労と、ストレスと……栄養失調による。

愛「……やっぱり、ご飯、食べてなかったんだね」

菜「せやな……もっと早く気付くべきやった。ゆきちゃんと一緒なら、ゆきちゃんの前でなら食べるって、油断しとった」

愛「菜緒……A、早く助けないと……危ないよ。壊れちゃう」

菜「でも……Aから助けを求めてくれへんかったら、どうにもならんやろ」

愛「そう、だけど、でも……」

ス「なに話してるの？」

菜「あ……今日は、ありがとうございました。Aのことで……ちょっと」

ス「Aのことは、家族に聞くのが手っ取り早いんじゃない？」

愛「いや、ゆきちゃんはまだ小さくて—— ス「あ、そっちじゃなくて」」

菜「え？」


ス「ちゃんと大人の方の家族に聞くのは？」


菜「……でも、Aの両親は、亡くなったはずじゃ……」

ス「うん、頼れる親戚も全然いないよ」

愛「じゃあ、一体誰に……」

ス「あれ？Aから聞いてない？」

菜「……なにも」


ス「あいつのこと小さいころから知ってる親戚、一人だけいるんだよ」

親戚→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す