【HQ】山口くん。弱虫くん。Ⅱ (ページ17)

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＊弱い虫 037 ページ17

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貴方side

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私が東京に越したのは

小学５年の春。

親の転勤が理由だった

忠に言えなかったのは、

前日のこと。

覚えてるかな

『なんで、俺は弱虫なの？』

泣きながら、その言葉を言われた時、何も返せなかったから。

私が、ずっと忠を助けてたことで、忠が傷ついてたこと

考えてあげられなかった

だから何も言わずに東京に来たの

小学校は楽しかったよ

中学校もなんとかやっていけた

でも高校でね_____

【私、いじめられてたんだ。】

そう言った瞬間、

忠の顔色が変わって

ごめんねともう一度だけ伝えた

理由はさ、

全部私のせい。

高校に入ったとたん、

お母さんが倒れて、

あの時の私は異常だった。

荒れてたって言ったらわかりやすいかな。

でも、クラスで浮き始めた私を救ってくれたのは赤葦先輩だった。

バレー部においで。

そう言われて、私は救われた。

初めは断ったけど、たまたまみんなのプレーを見たとき

一瞬で世界が変わった。

バレー部は、私のこと、よくしてくれた

赤葦先輩はよく気にかけてくれて嬉しかった

みんなとも少しずつ打ち解けて、
クラスにも素を出せるようになった

それである日、

女らしくすれば？

髪、もっと伸ばせば？

口調、もっと丁寧にすればいいよ。

すぐ手を出さないで。

何でもすぐに威嚇しない。

赤葦先輩にそう言われて

赤葦先輩には感謝してたし

全部やってやろうって思った

それだけだった______

甘く見てたよ。

『あれ、大分髪伸びたね』

『先輩が言ったんですよ？』

『敬語になってる・・・。』

笑いあって馬鹿みたいだった

赤葦先輩は、女子に人気があって、

急に変わった私を見て、媚を売ってるように見えたんだろうね

ある日突然、

水をかけられたよ。

突然、ロッカーにゴミを入れられて

突然、独りになった。

女って怖いよね。

平気でなんでも出来るんだよ

『全部やってみせたのにｯ……』

まるで先輩を責めるような口ぶりで、

突然の事で怖くなった私は、

全部人のせいにした。

隠しておこう

心配かけたくないと思ったから

いつか先輩に

とんでも無いことを言ってしまうと思ったから。

でも、赤葦先輩は鋭かった______

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