29話ーその切なげな横顔が �� ページ30
kn side
「……暇だなぁ」
ポカポカと暖かな昼下がり。早々に今日やる事が終わってしまい、俺はかなり暇していた。国の幹部とはいえ、六人もいると必然的に一人当たりの量が少なくなるから、大して仕事量も多くはないのだ。
勿論、自分の仕事が終わってから出来る事もあるが、窓から差す日差しのせいで、やる気にはなれず。かといって、疲れているわけでもなく、眠いわけでもない。…まぁ、そんなこんなで、今本当にやる事がない。
何をしようかと頭を捻れど、良い案は思い浮かばず、無駄に座り心地のいい椅子にどかっと腰掛けた。ふと視線を移すと、机の上にあった侍女の仕事担当が書いてある紙が視界に入り、そのときに見えた“A”の文字。気になってそれを手に取って読んでみると、どうやらAは城庭担当らしいという事がわかった。
「城庭、か…」
遠くから見たことはあるが、中に入ったことは無い。前から興味はあったのだが、タイミングがなかったのだ。…あれ、もしかして今がチャンスかも…？
まぁ、今はAに会いたいっていうのが目的の8割だけど…って、ちょっと動機不純過ぎん！？と驚きながらも、せっかく手入れしてくれているのに入らないのはどうなのだ、と自分の中でこじ付け、庭へと足を進めた。
.
庭は思ってた以上に綺麗で、少しびっくりした。花は基本的に水色、赤、黄緑、青、紫、黄色の花で、ちゃんと俺らのことも頭に入れて作ってくれてるのだなと実感する。
庭を楽しみながら進んでいくと、ふと侍女が全くいないことに気がつき、本来の目的を思い出す。…もう仕事終わっちゃったのかもなぁ、なんて思っていると、しゃがみ込んでいる侍女が目に入った。反射的に城の壁に身を隠す。…まぁ、隠れる必要性は無いんだけど…何だか今頃この行動が恥ずかしいように思えてきて。
そっと壁から顔を出し、Aの様子を伺う。
彼女は何か小さな動物を抱えているようだった。
そして優しくそれを撫でた。
これ以上に無く、切なげな顔をして。
その横顔を見た瞬間、鈍器で殴られたように強い衝撃が、頭に響き、
気持ちの悪い懐かしさが、体を駆け巡った。
ドクン、ドクンと、自分の鼓動が、やけに大きく聞こえる。
脳内を埋め尽くす“なんで？”の疑問。俺は、彼女のあんな顔は見た事がない。
後ろに数歩後退り、急いで部屋に戻った。
バタン、と自室のドアを閉めても、懐かしさが纏わりついてきて、今までに無い不安に襲われる。
その懐かしさの思いあたりを探しても
思い出せず。
それからいくら忘れようとしても、
あの切なげな横顔が、脳裏に焼きついて離れなかった。
30話ーその切なげな横顔が �侠�←28話ー数多の命、小さな命
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Bearl - 萌木さん» なるほど…！教えてくださりありがとうございます！通知は本当にすみません…消えたらと思うと怖くって…萌木さんまだ読んでくださっていてありがとうございます。これからも頑張ります！ (2023年2月12日 17時) (
レス) id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
萌木(プロフ) - 一応更新の通知自体は来ます。ただ非公開更新しているからではなく話を非公開にしているからだと思います。 (2023年2月12日 17時) (レス) id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - あずきのもちさん» 返信遅くなってしまってすみません…！ご意見ありがとうございます！テスト、お互い頑張りましょう！ (2023年2月12日 11時) (レス) @page34 id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
あずきのもち(プロフ) - コメント失礼します〜。私的にはどっちの書き方も好きなので、主様のお好きな方でいいと思います！あとテスト大変ですよね...私も2月にテストがあるのでお互い頑張りましょう！ (2023年1月29日 18時) (レス) @page35 id: 54d9d03467 (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - 萌木さん» どうぞどうぞ！！心に残る言葉なんて思っていただけたなんて…！すっごく嬉しいです！(返信遅くなってしまってすみませんでした…！) (2022年10月30日 20時) (レス) id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Bearl | 作成日時：2022年6月26日 10時
