23話ー青色のヒヤシンス ページ24
.
…なんだか、人が居るのが安心して、私の為ではないことが分かっていても、来てくれたことが嬉しくて、気が緩んだのか、重力に従って、私の涙が、頬を伝って静かに落ちた。
「えっ！な！ど、どうしたの？！」
『っ、いえ、なんでも、ない…です』
「……何か、あった？……話したくなければ大丈夫だけど…ゆっくりでいいから、教えて欲しいな…？」
きんとき様の優しさが身に染みて、さらに涙が込み上げてくる。でも、心配をかけたくないから、ぐっと抑えた。しかし、きんとき様には、それがお見通しだったようで、
「泣くのは……恥ずかしいことじゃないよ。だから、いくらでも泣いて大丈夫だよ」
そう言われた瞬間、ハッとした。
あぁ、やっぱ、貴方は……
…
もう我慢が出来なくなって、ボロボロと涙が流れてきた。
涙も少し落ち着いてきた頃、
『……あまり良いものでは無い、昔のことを思い出してしまったんです』
と、きんとき様に話した。……本当は全部話したかったけれど、流石にそれは出来なかったから。…臆病な私は、それしか言うことが出来なかった。
『……そういえば、きんとき様はなぜ医務室に…？』
「あっ、そうだ忘れてた。お花、飾りに来たんだよね。」
『えっ？わ、わざわざそのために来てくださったんですか…？』
「うん、そう。早く良くなりますようにって。」
『…ありがとうございます……あ、その青いお花って何の花ですか？』
「これはね〜…青いヒヤシンス。……近くに花畑があるんだよ」
『……とても綺麗ですね』
「うん。……俺自身、すごく気に入ってるんだ」
それから、少しお話をした。
その一瞬一瞬が楽しくて、
これがもっと続いたら良いのに……
なんて、我儘なことを思ってしまう。
もうすぐ、きんとき様はお仕事に行かなければならないという時に、
「……そういえば、最近寝れてないんだよね？」
と聞かれた。
『…？そうですね』
「じゃあ、Aが寝るまでそばに居てあげるよ」
『え………？』
「あ、嫌だったら全然良いんだけどね！？」
『いえ…とても嬉しいです。お願いしても良いですか…？』
と言うと、きんとき様は少しだけ照れながら、
「うん。もちろん」
と、笑顔で言ってくださった。
その日の夜から、本当に寝るまでそばに居て下さった。悪夢も、もう見なくなり、久しぶりにゆっくり眠ることができた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 475人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Bearl - 萌木さん» なるほど…！教えてくださりありがとうございます！通知は本当にすみません…消えたらと思うと怖くって…萌木さんまだ読んでくださっていてありがとうございます。これからも頑張ります！ (2023年2月12日 17時) (
レス) id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
萌木(プロフ) - 一応更新の通知自体は来ます。ただ非公開更新しているからではなく話を非公開にしているからだと思います。 (2023年2月12日 17時) (レス) id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - あずきのもちさん» 返信遅くなってしまってすみません…！ご意見ありがとうございます！テスト、お互い頑張りましょう！ (2023年2月12日 11時) (レス) @page34 id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
あずきのもち(プロフ) - コメント失礼します〜。私的にはどっちの書き方も好きなので、主様のお好きな方でいいと思います！あとテスト大変ですよね...私も2月にテストがあるのでお互い頑張りましょう！ (2023年1月29日 18時) (レス) @page35 id: 54d9d03467 (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - 萌木さん» どうぞどうぞ！！心に残る言葉なんて思っていただけたなんて…！すっごく嬉しいです！(返信遅くなってしまってすみませんでした…！) (2022年10月30日 20時) (レス) id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Bearl | 作成日時：2022年6月26日 10時
