また、埋めにいこう。 ページ9
「あの、私、言わなくちゃならない事があって……!!」
覚悟を決めて話し出す。
二人はそんな私を訝しそうに見た。
「え、なに?どうしたの?」
つわはすと呼ばれていた彼が優しく聞いてくれる。
ギュッと片手を握り締めて、私は続けた。
「ごめんなさいっ!私、七年前から記憶が無くて……だから、お二人にとって私が久しぶりでも、私全然覚えていなくてっ……!本当に、ごめんなさいっ……!!」
表情を見るのが怖くて、バッと頭を下げる。
「………」
「………」
「………」
「………そっか」
沈黙を破ったのはレトルトさんだった。
こちらに近づいてくる足音が聞こえて、俯いたままビクリと震えてしまう。
でも、彼は「ほら、顔上げて?」と私の頭を撫でるだけだった。
恐る恐る顔を上げると、彼の顔にはあの仮面はついていない。
ふわふわとした茶髪に、優しげに細められたオレンジ色の目が私を見つめていた。
「大丈夫、そんな怯えんといて。俺らの事、わからんのにいきなり連れ出したりして悪かったなぁ。怖かったやろ?いきなりあのローブ襲ってくるし……。ごめんな」
「そんなっ……!私、ずっと外に憧れてたからっ……!だから、嬉しかったです。レトルトさんから、あの手紙が送られてきてっ……!!」
「そっか。ならええんや。改めて、自己紹介するな!」
レトルトさんはニコッと笑うと、ずっと撫でていてくれた手を離す。
そして、その場で恭しくお辞儀をした。
「こんちゃーす!レトルトと、申しまーす!」
紳士的な態度とそぐわない、明るい鼻声での自己紹介。無邪気な笑顔が可愛いな、と思った。
「じゃ、俺も便乗してー……。つわはすです、よろしくな」
そう言ったのは緑髪の彼だ。
少し長めのその髪と同じ、ペリドットの瞳。
見た目より随分低い声だけど、優しげな雰囲気は伝わってきた。
「……Aです。来てくれて、ありがとうございます!七年前の事とか、約束の事とか……色々、教えてください!」
空白の七年間について、ようやく知れるかもしれない。
そこに、私は少なからず期待していた。
「もちろん!」
そう差し出してくれるレトルトさんの手を、私は再び掴んだ。
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つわはすさんのKHで、アイスについて語るシーンの「いちご味が好き」発言でマリパのマイクゲームを連想したのってワタクシだけですかね……?w
ワタクシもハー○ンダッツのクリスピー大好きです!抹茶美味しい。
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猫神 くろあ(プロフ) - 初めまして、くろあと申します。とても謎が多いですね!伏線がたくさんあってとても気になります。私生活で支障が出ないぐらいに更新頑張ってください!!応援してます! (2015年11月23日 18時) (レス) id: da792a5af3 (このIDを非表示/違反報告)
抑圧死亡者S(プロフ) - 俺は、続けた方がいいと思います。 それこそ、この騒動から目を背けて、強運の彼の事を忘れてしまうような、そんな感じがして俺は嫌です。例え誰が悪くても、その人が好きなら好きでいいと思う。俺も自分勝手ながらこれからも続けるつもりですしおすし。 (2015年7月15日 14時) (レス) id: 61a01a7001 (このIDを非表示/違反報告)
青月要(プロフ) - はじめまして。単刀直入にいうと、自分のやりたいことを尊重すべきです。一連の騒動や引退などがありましたが、それはそれ。これはこれです。応援しています、頑張ってください! (2015年7月15日 0時) (レス) id: 6a04d14fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:和叶菜 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2015年4月29日 17時