エピソード21 悪夢 ページ23
Aside
暑くもない。寒くもない。
ふわふわとした景色は、ここが夢の中であることを暗示していた。
私が今いるのは辺り一面真っ白な世界。
果てしなく白が続く世界は、果てしなく黒が続く世界よりも何倍も恐ろしかった。
突如、穢れのないスクリーンから1つの映像が映し出される。
目の前は真っ赤な炎に包まれていた。
車から轟々と燃え盛る炎は弱まることを知らず、ただただ燃えていた。
焼け石に水だろうが、自分に出来ることをしようと手元に転がる水筒を掴んでみるが、
その手はすり抜けてしまった。
そうか…私は幻影を見ているのか。
車から人影が見える。男の人だ。
あつい、あついと何度も繰り返す声は、あまりに残酷だった。
体が壊れた車の下敷きになって、助けようにも助けられない。
周りにいた人は知らん顔で避難する。
ヒーローは有利な個性のヒーローが来るまで突っ立っている。
もどかしさに苛立つが、私はこの過去を触れる権利が無くて。
ただただ手がすり抜ける。ただそれだけ。
私は何も感じないから、あの人の最期を看取ろう。
そう決めて近くへ行く。
あついと言う声は次第に小さくなり、喉を火傷したのか呼吸をするのでさえ困難になっていた。
地面に滴る血。
苦しそうな呼吸。
目尻から伝う涙。
その全てが私の心を痛め、残酷さが私のダイレクトに伝わってくる。
不意に、彼の唇が上下する。
「綾…」
綾。母さんの名前だ。声にならない空気の音だけが、静かに耳にこびりついた。
「あい、して…る…」
その言葉を発する空気はもうなくて。火傷した喉は大切な言葉さえも発することさえ出来なかった。
数秒後、車はガソリンが引火して爆発した。
その残酷さと悲しみを表すように、大粒の雨が降り注いだ。
映し出されていた映像はぷっつりと消え、次は真っ黒な世界に包まれた。
不安と恐怖が私を襲った。
あれ？息ってどうやってするんだっけ…？
呼吸が荒くなり、膝から崩れ落ちた。
その場に倒れてしまい、ただ呼吸の荒さだけが空間に響き渡る。
体が熱いのか寒いのかわからない状態で、体がとてつもなく怠く、力が入らない。
『誰か…』
たすけて
その言葉も声にならず、空気だけが喉を通っていった。
その瞬間、おでこに誰かの掌が当たった。
その手は本当に温かくて、
温もりは冷え切った体と私に襲いかかった恐怖や不安を浄化していった。
そして、真っ黒だった世界から1筋の光が差してきた。
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胡桃 - たくあんさん» 了解です！やっぱ爆豪くんですよね！！ (2018年4月30日 21時) (
レス) id: 7378d7060e (このIDを非表示/違反報告)
たくあん - オチは爆豪がいい！ゼッッッッッタイ爆豪！ (2018年4月29日 16時) (レス) id: 3a6807fdc3 (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為なので違反報告の対象になります (2018年3月24日 18時) (レス) id: f71214a95d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡桃 | 作成日時：2018年3月24日 17時
