28話 ページ29
真っ暗になった視界、浮遊感。
ああ、死んだのか。
『誰が殺してやるものか』
聞き覚えのある声。
驚いて瞑っていた目を開けた。
松田「お前は・・・・・っ!」
『情報屋でありハッカーの"カゲロウ"です』
どーも、なんて言いながら松田に笑いかける。フードが焼かれて素顔だったので、さらに松田は驚いた。
『あと、暴れないでくれます?ちょっと今キツいんで』
下を見れば地面からは何十メートルも離れた高さだった。そして松田を支えているのはAの左腕。もう片方の右腕は観覧車の一部を掴んでいた。
『美人さんを泣かせちゃ駄目ですよ、松田さん』
軽口を叩き、松田を左腕で抱えたままゴンドラを上手く乗り移って地面まで降り立った。このような芸当が出来るのはAくらいのものだろう。
『ほいっ』
ポーンと投げ出された松田はいきなりのことで受け身がとれず、地面に転がる。
松田「ッテェ・・・・・!!」
すぐに起き上がると、Aと対面した。
松田「・・・・・何でお前がここにいんだよ。それに、"カゲロウ"って」
『何でって・・・・・勿論、一度は見捨てようとしましたよ?』
でも考え直したんです、と言葉を続ける。
『松田さん、貴方がいないと萩原さんも伊達さんも悲しみます。だから貴方が一ヶ月前に私のトリップを信じなくても助けることにしました』
松田「"カゲロウ"は?」
『私は警察お抱えの情報屋でありハッカー、昨日そう言ったはずですよ』
萩原がマンションに向かった時のことを思い出す。
確かにそう言っていた。
松田「ついでに話し方とか・・・・・」
『これが素です。さて、もういいですか?』
松田「まだ信じられねぇよ・・・・・」
ハァ、と深いため息を吐き出す。
Aの情報量が尋常でなく、脳内で整理しているところだ。
松田「・・・・・なんつーか・・・・・取り敢えずありがとな」
バツの悪そうに視線を反らした。
『それはいいけど、美人さん達が向かってきますよ?』
ふと振り返れば涙を流しながら駆け寄ってくる佐藤刑事に続き、その他大勢の姿が。
『んじゃ、私はこれで』
おい、なんて声を聞かず足早に松田から離れていった。
『っ、は・・・・・』
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黒月夜*(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます!警察学校組は救済しないと精神的にキツイので、自己満足みたいな感じですが救済させてもらいました!これからも読み続けてもらえると嬉しいです! (2019年3月13日 23時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです 。私もすぐに道に迷います 。警察学校組好きなので救済設定なのが嬉しいです (2019年3月13日 19時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
柊苺(プロフ) - 苺「そんなことするくらいなら、私が犠牲に……つ」 (2019年2月24日 8時) (レス) id: 30ac6fcd11 (このIDを非表示/違反報告)
黒月夜*(プロフ) - 柊苺さん» 田中花子オブラート17世「でも、これしか道がないの・・・・・っ」 (2019年2月23日 22時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
柊苺(プロフ) - 黒月夜*さん» ??「そんなことするなっ!」 (2019年2月23日 22時) (レス) id: 30ac6fcd11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒月夜 | 作成日時:2018年12月26日 22時