25話 ページ26
『わっ、ぁ・・・・・?』
石につまづき、前へ倒れようとする体をどうにか立て直すと、そのままの勢いで道に出た。
『こんなところに遊園地なんてあるんだ・・・・・』
大きな観覧車が目の前に見え、思わず発してしまった言葉に違和感を感じる。
『観覧、車・・・・・』
観覧車・・・・・そう、松田が死ぬ場所。
嫌な風がAの頬を撫でた。
『はは、でも今日なんてことはないでしょ・・・・・』
そう思っても、視線をずらした先に見知った警察が。
そして、動いていたはずの観覧車が停止した。
『嘘・・・・・』
松田がそこにいる、ということを確信してしまった。
一ヶ月間で徐々に原作を思い出したが、松田は萩原の後の何年後かに殉職するはずだ。
それが昨日の今日で立て続けに二人とも現場にいる。
予想が当たってしまった。原作が狂ったのだ。
よく考えればよかったと後悔する。萩原も、松田も、伊達にも、誰にもちゃんと年齢を聞いていないのだ。年齢がわかればだいたいの時間軸を知れて、萩原が死ぬ前か後かぐらいは把握出来たのに。
そうすれば、原作が狂ったのか、それとも少しずれたのかどうかぐらい予測したのに。
『あーあ・・・・・』
助けに行こうにも、フードはともかく変声機が無い。"カゲロウ"の姿を使おうにも使えない。
素顔を見せるのは、この世界を去るときに必要以上の人物の記憶に残ってしまうから駄目だ。
『嫌、そもそも私に松田さんを助ける義理も義務も無い・・・・・』
トリップを信じる代わりに助ける、そう言った。そしてそれを断ったのは他でもない松田だ。
Aは観覧車に背を向け、反対方向へと歩き出した。
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黒月夜*(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます!警察学校組は救済しないと精神的にキツイので、自己満足みたいな感じですが救済させてもらいました!これからも読み続けてもらえると嬉しいです! (2019年3月13日 23時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです 。私もすぐに道に迷います 。警察学校組好きなので救済設定なのが嬉しいです (2019年3月13日 19時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
柊苺(プロフ) - 苺「そんなことするくらいなら、私が犠牲に……つ」 (2019年2月24日 8時) (レス) id: 30ac6fcd11 (このIDを非表示/違反報告)
黒月夜*(プロフ) - 柊苺さん» 田中花子オブラート17世「でも、これしか道がないの・・・・・っ」 (2019年2月23日 22時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
柊苺(プロフ) - 黒月夜*さん» ??「そんなことするなっ!」 (2019年2月23日 22時) (レス) id: 30ac6fcd11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒月夜 | 作成日時:2018年12月26日 22時