国木田独歩:それが最善 ページ24
探偵社の一人、霧雨A。
彼女は今、犠牲になろうとしている。
『選びなよ独歩』
両手を広げ、国木田に向ける。
『私一人が犠牲になるだけで、この場にいる何人もが救われる』
Aはとある異能力をかけられていた。
自分が死ぬことで生きる者を救うことができるが、自分が生きていればその近くにいる者全員が死ぬという異能。
これは異能力を使って殺人を犯していた男のものだった。
捕まえたはいいが、置き土産として異能をかけられてしまったのだ。
そして、"近く"の範囲が何れ程のものなのかがわからない。
数メートルなのか、横浜全体なのか。それ以上に広いのかもしれない。
だからAを殺めるしかなかった。
国木田「俺の理想は・・・・・っ!お前も含めて全員を助けることだ!!」
『それは無理だよ。私を殺すことが独歩の理想に限りなく近いものなんだから』
とはいえ、太宰よりも長い付き合いの彼女を殺めるなど、国木田には出来ないことだ。
でも、殺さねば自分が、仲間が、理想のために救ってきた人々が死んでしまう。
国木田「そうだ、太宰・・・・・太宰の異能で、」
『それも無理だね。これは時間制限付きだ。もう数分しかない』
あと数分で、どこにいるか知れない太宰を呼び出し、無効化するなんて無茶だ。
どう足掻いても救うことなんて出来ない。
生か死かを選択させるなんて酷い異能力だ、とAは笑う。
『時間切れで死ぬよりも、最後に独歩の手で死にたかったんだけどなぁ』
Aは懐から拳銃を取り出し、頭に銃口を向けた。
国木田「何をしているんだ、やめろ・・・・・まだ考えればお前を救う道があるかもしれないんだぞ・・・?」
『んーん。無いよ』
嫌だと否定する国木田。
『けど私だって何も出来なかったわけじゃない』
ぽい、と国木田の前に何かが放られた。
『あの殺人犯の証拠が入ってるよ。まだ証拠不十分だったんでしょ?』
目を閉じ、綺麗に笑ってみせる。
『これが私の、最善だ』
『抗ってみせてよね、独歩』
直後、乾いた音が一つ響いた。
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黒月夜*(プロフ) - 七海@月と星−−君と幸福な世界さん» 駄作なわけないじゃないですか!!そしてまさかのBlu-rayの予約・・・!? (2019年3月13日 23時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
黒月夜(プロフ) - コメントありがとうございます!!ゆ、遺言!?死なないでください!!というより、遺言がそれでいいんですか?! (2018年12月13日 22時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
河童系人間。(プロフ) - むり…尊い…すき……(遺言) (2018年12月13日 20時) (レス) id: 66413608c9 (このIDを非表示/違反報告)
黒月夜(プロフ) - ハニーさん» あ、なんかすみません・・・・・( ・−・) (2018年11月22日 23時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 澁澤さんの童話むり…しんどい…(´Д` ) (2018年11月22日 10時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒月夜 | 作成日時:2018年5月10日 21時