春、僕らは恋をする。【オリジナルBL】 (ページ21)

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疾風side

今日Aが俺のところに聞きに来る。

何を言えば…。

別に俺はAの事が嫌いなわけじゃない。

好きだ。

愛してる。

でも……記憶が無くなったら俺と会ったことも消える。

生きて欲しい。

俺の事なんか忘れたって……Aが笑って楽しく生きてくれるならどうって事ない。

……これが俺の答え。

まぁ彼奴が俺の事をどう思ってるか、なんて知らねぇけどな。

もしかしたら嫌われてる可能性だってあるし。

「はゃ、てっ…!!!!」

後ろから名前を呼ばれた。

知らない声だ。

「……A……？」

振り向くとAが居た。

こんな、声なんだな。

綺麗で、ずっとずっと聞いていたい声。

そんなに長く喋れない様子のAは先に書いておいたのか紙を目の前に突き出してきた。

『何で僕から離れたの。』

「聞こえる……？」

Aは少しテンパりながらも紙に書いてくれた。

『少しだけなら。聞こえない時もある。』

俺がにっこりと微笑むとAはホッとした表情を浮かべる。

「聞いたら引いちゃうよ？」

『引かない』

「聞いたら後悔する。」

『しない。何でも受け入れる。』

「……するよ。」

「……っ!!」

Aは何かを喋ろうとしながら俺の胸ぐらを掴んできた。

「好っ、き……!!なぁ……の!!」

少しだけ出た声にAは驚き顔を真っ赤に染めて下を向く。

耳も真っ赤っかだ。

「さっきの、ほんと？」

下を向いていた顔を上げさせると大きな目にいっぱいの涙を浮かべていた。

そして合っていた目を逸らしてコクンと頷いた。

「そっか、そっかぁ。さっき何を言おうとしてたの？」

落としていたペンと紙を渡しながら言う。

必死に書いている字は珍しく乱れている。

『ハヤテの事好きだから、引かない。何でも受け入れる。だから、離れないで。少しの間しか過ごしてないのにハヤテが居ないと寂しかった。』

俺が読み終えてAを見ると口パクで『好き』と言ってきた。

それも1度じゃなく何度も。

時々声が出るけどもうAは気にしていないようだった。