春、僕らは恋をする。【オリジナルBL】 (ページ11)

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Aside

検査が終わり病室へ戻る。

『まだ居たの？』

『じゃあねバイバイA。』

そうメモに書いて渡してきた疾風。

何で……？

『彼奴はもう来ないよ。邪魔だったんだろ？良かったじゃん。』

うん、そうだね。

うるさかったし、しつこかったし、居なくなって……。

良かった……？

でも何で"そうだね"って書けないんだろ。

何で……何で……？

『海先生1人して欲しい。』

海先生は少し躊躇ったけどコクンと頷いて出ていった。

こうやって……いつもいつも皆僕から離れていく。

お前もなのか……疾風。

暖かいものが頬を伝った。

「…………ﾂﾞｯ……亻"……。」

あれ……今声が……でた気がする。

でもその前に僕は何を言おうとした……？

何で……？

僕は彼奴と会って2日しか経ってなくて……。

た、たまたまだよな。

久しぶりにこれだけ相手してくれる人がいて嬉しいだけ。

嬉しい……？

何で嬉しいの。

うるさくて、しつこいんじゃなかったの。

何で"好き"なんて思ってるんだろ。

また……失っていく。

いや今回は何故かもう既に失ってる。

「ｳﾞｯ…………ｱﾞ………。ｳﾞｳﾞ……。」

認めたくない。

認めたらまた傷つくだけ。

なのに、涙が止まらない。

耳が聞こえなくなってから喋る事を諦めていた口は声の発し方を忘れ、呻きにも取れる声を発しているはずだ。

疾風……。

戻ってきて。

明日またうるさいほどの笑顔見せてよ。