【名探偵コナン】悪役系女子の私がトリップした件について

#05 ページ5

意識が戻った時、今自分が何処にいて、何をしていたのか一瞬判らなかった。夢を見て、その夢で大事な物を置き忘れたまま深い眠りに入り、その後目が覚めたような妙な感覚があった。


( ……ここは何処？さっきまで見ていた夢は何だったんだろう)


その夢の中で、自分は屋上から落ちていたような―――


屋上。七不思議。死。


『……！』


Aは飛び起きた。よく見ると、そこは自分の部屋であった。部屋の物は何も変わらず、自分は何時もの灰色のパーカーを着込んでいる。


(学校じゃない……？)


状況があまり理解できず、Aはパーカーのポケットを探ってスマホを取り出した。電源を点けると、５月１７日の午前１０時を指している。

まさか、彼女が消えたあの時から、全てが自分の夢だったのだろうか。

Aは不審に思いながらも、自分の部屋を出てリビングへ向かった。今日は休日だから、社会人である姉が家に居るはずだ。


『……お姉ちゃん？』


私はリビングに向かって声を掛けた。しんとした部屋に、自分の声が静かに響いた。誰も返事はしなかった。それどころか、リビングの電気は点いておらず、まるでこの世界に自分だけが取り残されたような気がしてくる。


　……もしかしたら、外へ出掛けたのかもしれない。


あまり外出を好まない姉ではあったが、今はそれを信じることにした。私は姉を探しに家を出た。


…*…*…*

お気に入り登録、評価ありがとうございます！

#06→←#04

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す