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あの日から一週間。私は何とかバイト先を見つける事が出来た。しかし、バイトだけで生活するのは流石にキツ過ぎる。私は少し前から、三次元でもやっていたある稼ぎ法で難を逃れていた。
夜の街を一人歩き、とある店の扉を開けて中に入り込む。マスターに何時ものを頼んで、喉に流し込んだ。そう。これは立派な法律違反。私は、年を誤魔化してこのバーに脚を運んでいるのだ。
少しだけ酔が回ってきた頃、何時もの感じで知らない男が声を掛けてきた。
「そこの姉ちゃん、俺らと賭けでもしねぇか?」
『……いいよ。丁度暇していた所だから』
私はニヤリとした笑みを浮かべ、男を見た。その男は、一般人と比べるとかなり強そうな体格をしている。
『それで?賭けのルールは決めてあるの?』
「ああ、今からここにあるビールを一気飲みして、それに耐えれた奴か、先に飲み終わった奴が勝だ。文句はねえよな?」
『ええ、さっさと始めましょう』
私はグラス一杯に注がれたビールを前に、隣の男を見た。彼もかなりの自信があるのか、余裕そうな表情に見える。共に5万円を賭け金とし、スタートの合図と共に飲み始めた。
私は一気にグラスを空にして、テーブルに置く。隣を見ると、自信があったはずの男は耐えきれなくなり、床で伸びていた。
『それじゃ、お疲れ様〜』
私は5万円を手にして、バーを出た。
財布の中身がゆうに三十万は超えているのを見て、私は不敵な笑みを浮かべる。
「凄いですね。さっきの対決、貴女が勝つとは思いませんでしたよ」
『……!?』
私はギョッとした。そこに立っていたのは、紛れもなく降谷零であった。確か、安室とかいう偽名も使っていたような。
彼はふっと笑みを浮かべてそう言うと、私の前に来てこう言った。
「僕はてっきり……男性の方のほうが有利だと考えていましたが。違ったようですね」
『別に。偶々私がお酒に強くて、彼の調子が良くなかっただけ。貴方が言うように、普通の女なら、一気飲みし始めた時点で伸びてるわ』
あまり関わりたくないという気持ちもあって、私は急ぎ足で歩き始めた。その時、彼が閉ざしていた口を開いた。
「“アルコール分解酵素サプリ”」
『……!』
「貴女がバーにいる時、偶々見てしまったんです。貴女が、サプリを口の中に入れる所を」
偶々、という言葉をわざとらしく強調して、彼は微笑んでいた。まるで、推理を披露するかのように。
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Yu?(プロフ) - お話すごく面白いですっ!一気見しちゃいましたよ笑!一つ質問なんですけど、これ名前って変えられないタイプですかね? (2023年1月28日 10時) (レス) @page24 id: 96e4dc2d5b (このIDを非表示/違反報告)
#ゆるめぁ(プロフ) - シオンちゃん大好き!!さん» マジですか!?嬉しいです!!更新が不定期ですがお話は進めていくつもりなので暖かく見守ってほしいです(*´-`) (2020年1月12日 18時) (レス) id: a4a4e4bd2b (このIDを非表示/違反報告)
シオンちゃん大好き!!(プロフ) - お………お……………面白いィィィィィイッ!!! (2020年1月7日 5時) (レス) id: 626da14d5b (このIDを非表示/違反報告)
#ゆるめぁ(プロフ) - のん@天使から墮天使のウオタミ(?)さん» このままフラグ回収なるか!?いやそうとしか考えられない!笑 応援ありがとうございます。これからどんどん更新していくのでよろしくお願いします! (2019年3月19日 8時) (レス) id: 970964fd31 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使のウオタミ(?) - 夢主ちゃん、盛大なフラグ建設したけど大丈夫なのか?見事に回収しそうな展開…(なんかネタバレ(?)してない!?)続きがめっちゃ気になる…。作者様も色々あるかと思いますが頑張ってください!応援しています! (2019年3月18日 22時) (レス) id: 5bc91f0494 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:#ちゃむ x他1人 | 作成日時:2019年1月5日 20時