【文スト】一般人の中原です

　・　兄弟揃って ページ44

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『――んっ』





Aが目を覚ますと、木に寄り掛かって座っていた。

視線を上げると、薙ぎ倒された木々と、大きく抉られた地面。

その開けた空間に、太宰と中也を見付けた。

Aは重い体を起こして、ふらつく足取りで二人に近付いた。





「っ！ A君っ！？」





Aを見て驚く太宰。

Aは真っ直ぐ中也に近付いて、手を伸ばして触れた。

途端に、Aは頭を抱えて呻いた。

倒れそうになるAを太宰が受け止め、地面に寝かせる。





「全く、君達兄弟は揃いも揃って莫迦なのかい？」



『……ははっ、否めません』





弱々しく笑って、Aが太宰に目を向けた。





『兄さんの事は……全部受け止めたかったから。さっき、酷く傷付けた』



「君の所為ではないだろうに」



『それでも、です……』





すると、Aの限界が来た様でガクッと意識を失った。





大きく鼾を掻く兄と、静かに寝息を立てる弟。

その寝顔が余りにもそっくりな事に、太宰は小さく笑った。





「ホント、君達って仲が良いよねぇ」





太宰はAを背負い、地面に倒れる中也を振り返る。





「悪いね中也、私A君を運ばなければならないから、君を拠点に送り届けるのは無理っ！

　でも、連れて行く様云ったのは君だし、私は悪くないっ！」





笑顔でそう云うと、太宰はスタスタと探偵社へ向かったのだった。



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