【文スト】一般人の中原です

弟は善い奴 ページ31

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「……つまり、俺が必死で隠そうとしてた事を、お前は最初から全部知ってたってわけか」





『うん』





「……」









Aは真っ直ぐ中也を見て返事をした。





中也は手で顔を覆って、天井を仰いだ。









「俺の、これまでの苦労は……」





『別に隠さなくても良かったのに』





「隠すに決まってんだろ……俺の記憶を読んだんなら、理由くらい分かんだろ」





『……』









――実の弟に嫌われたくない。





――拒絶されたくない。









「マフィアの幹部が……情けねぇ話だ」




『情けなくなんかないよ……マフィアも幹部も関係ない。兄さんは兄さんだ』





手を退けて、中也はAを見る。





『兄さんがどんな人間だろうと、俺の家族である事に変わりないよ。だから今まで一緒に居たじゃないか』





「……ホント、お前」









――俺には勿体ない程に、善い弟だ。



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