【文スト】一般人の中原です

兄の仕事 ページ4

.



中也Side



『兄さんは？ 今日も遅くなりそう？』



「かもな」



『兄さんしょっちゅう残業やってるけど、そんなに会社忙しいの？ ブラック？』



「まぁ……それなりに、な」





俺は目を逸らしながら珈琲を啜る。





弟には、俺は普通の会社に勤務している事になっている。





前に一度「その恰好で会社の人に怒られない？」と、突っ込まれた事があった。





その時は「こう云う恰好でも問題ない会社だ」と説明したら納得してくれた。





『ファッション関係？ あ、広報担当か』と自己解決していた。





『遅くなるのはしょうがないけど、休む時はちゃんと休んでよ？』



「わーってるよ」





俺はそう応えながら運ばれた朝食を食った。





その後、何度か忘れ物は無いか、Aに確認されながら出掛けた。









.









深夜。

俺は遅くに帰宅した。





「……ただいま」





玄関を開けながら一応声を掛ける。

当然返事は無い。

こんな時間に起きて居る訳がない。





テーブルには一応俺の分の食事が置かれていた。





――【腹が減ってたら食べて。朝食でも可】





そんなメモも置かれていた。

自室へ向かう前に、Aの部屋のドアをゆっくり開く。





ベッドで熟睡するAの寝息が聞こえた。





「――ありがとな」





本人には聞こえないだろうが礼を云う。





起きている本人に云っても「気にしなくて良いよ」と笑うだろう。



.

兄の卵焼き→←中原兄弟の朝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す