【文スト】一般人の中原です

兄への報復 ページ22

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路地に入った所で中也の携帯電話が鳴った。





知らない番号に中也は眉を顰め、太宰に視線を送りながら電話に出た。









＜ポートマフィア幹部、中原中也で間違いないか？＞





「誰だ手前」









苛立ちながら中也が尋ねると、電話の向こうの男は笑った。





＜俺が誰なのか、話したところでお前には記憶にすら無いだろうなぁ。

　そんな雑魚だと思っていた奴に、仕返しされるなんざ、思いもよらないだろうなぁ＞





「何が云いてぇんだ手前は」









＜そんな血も涙も無い野郎でも、自分の弟は大事にするんだな？＞





「っ！！」









男の一言に、中也の目の色が変わった。





「弟は何処だ」





＜教える訳ないだろう？ お前にはたっぷり苦しんで貰わないと＞





「何処だっ！ 手前……Aに手ぇ出したら只じゃ済まさねぇぞっ！」




＜それは出来ない相談だ。今からお前の弟と遊ぶからな。明日には、魚の餌になってると思うが＞





「……糞がっ！！」





男は楽しそうに笑う。

中也が壁を殴り大きく陥没した。





＜最期くらいは弟の声を聞かせてやる…………おい、起きろ餓鬼＞





男の声が遠ざかると、暫くの沈黙が続いた後、小さく雑音が聞こえた。









＜――兄さん？＞









弱々しいAの声が聞こえた。



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