【文スト】一般人の中原です

弟の行方 ページ21

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事務所を抜け出して、太宰は「うずまき」に来店していた。





「こんにちは〜」



「あら太宰さん、丁度良かった。A君、知らない？」



「A君？」



「今日午後から来る予定なのに、まだ来てないのよ。何かあれば連絡くれる筈なんだけど」





彼の性格上、無断でバイトを休むのは考え難い。

ふむ、と考えてから太宰は携帯電話を取り出し何処かへ掛けた。





数コールの後、漸く相手が電話に出た。









「やぁ中也、3コール以内に出ないなんて、真逆居眠りかい？」





＜死ね＞









開口一番、呪いの言葉が飛び出した。





「死ぬなら美女とが良いなぁ〜……と、冗談はさて置き、中也、A君は？」





＜あぁ？ 今日もバイトで、午後は手前のトコの喫茶店に――＞





「来てないのだよ、彼」





＜……何だと？＞





「A君の事だから、バイトをサボるなんてことする訳ないのだけど」





＜……＞





「もしもーし、中――」





沈黙する中也に呼び掛けようとしたら、ブチッと電話を切られた。





念の為、太宰はAの電話に掛けてみたが、電源が入っておらず繋がらなかった。





もう一度中也に掛けるか、と釦を押そうとしたら――





バンッと喫茶店のドアが勢い良く開いた。









「Aと連絡が取れねぇっ！ どう云う事だ糞鯖っ！！」





「何で私の所為みたいになってるの？」









入って来るなり太宰の胸倉を掴んで来る中也。





突然の来客にマスターと店員が驚いていた。





「マスター達に迷惑だから場所を変えよう」





「……チッ！」





中也は舌打ちをして手を放し、店から出て行った。



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