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ある日、治から一本の電話が入った。
<A、頼みたいことがある>
「どうしたの?」
<先日話した任務の件、Aが行ってくれないかい?>
「あぁ、確か今、織田作と一緒だっけ?」
情報員の坂口安吾の捜索を首領が織田作に任命したのだった。
安吾は一度バーに訪れた時に、簡単な自己紹介をして以来か。
「報告書読んだけど、異能力者が居ないならすぐ済む案件さ。問題ないよ」
<ありがとう>
「あ、その代わり、今度僕のお願い一つ聞いてよね」
<えぇ……面倒臭いのは嫌だよ?>
治は渋りながらそれでも了承して電話を切った。
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誰の所為なのか、何を間違ったのか。
そんな問い掛けが来るのは、いつだって事が済んだ時。
それはつまり、手遅れということだ。
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敵組織の殲滅に関しては何の問題もなかった。
銃火器を備えていようが僕の異能の前では豆鉄砲と同じ。
僕の一声で黒犬が駆け回り、次々と人を喰らって行く。
部下を数名引き連れて来たが、僕の後ろで呆然とその惨状を眺めるばかり。
あとの掃除でもさせておこう。
「さぁて、ボスは何処かな?」
黒犬の嗅覚で一番奥の部屋へと進む。
ドアをぶち破れば、組織のボスであろう男がゆったりと椅子に座っていた。
「ようこそ、ポートマフィア、黒犬使い君。てっきり幹部様が来ると思ったがな」
「生憎、幹部様は多忙でね。貴方の組織潰すくらい駄犬で十分なので」
大型犬ほどの黒犬を数匹出しながら云うと、男は少し笑った。
「まぁ良いさ。君はその幹部様と同等に価値のある人間だろうからな」
そう云いながら椅子から立ち上がると、胸に手を当てた。
「太宰A。私を殺す男に敬意を」
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ルビー - 4ネタも見てみたいと思いました。すごく素敵なお話でした。 (2021年9月22日 7時) (レス) @page21 id: dc0e15f974 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 暁郗さん» ご指摘ありがとうございます。別の兄妹の変換ミスです。弟です弟。 (2021年1月24日 17時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 兄妹?え、兄妹??妹…だったの!? (2021年1月24日 17時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ノルさん» コメントありがとうございます。喜んで頂けて良かったです。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
ノル - 展開が面白すぎて一気に読み進めれました…! 更新楽しみに待ってます!ご無理のない程度に頑張って下さい(*´ω`*) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 2991e696be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2020年12月29日 21時