【想起】ある日常 ページ47
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朝。
寝台から降りて扉を開く。
すると、既に中に居た眼鏡さんが此方を見る。
「おい×××ッ! 9分45秒寝坊だぞ…………そんなに細か過ぎると禿げるだと? お前、太宰みたいな事を云うなっ! 少しは目覚ましで起きれる努力をしろっ!」
ガミガミ怒り始めた眼鏡さんから逃れる為、白髪の少年の後ろに隠れる。
「国木田さんも相変わらず……えぇっ!? 何とかしてって×××ッ! そんなの無理だよぉ」
白髪の少年が情けない表情をして首をぶんぶん振る。
視線を変えて、隣の着物の少女を見る。
「……分かった。毎朝私が起こす」
頼もしい事を云う少女は、右手をスッと挙げた。
「鏡花ちゃん……その手の構えは何?」
「3回起こしても起きない場合の最終手段」
「×××ッ! ちゃんと起きようっ! 命の危険を感じるっ!」
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場面が変わって保健室の様な場所。
奥の部屋からお姉さんが出て来た。
「おや? ×××、アンタ手の甲から血出でてるよ? 妾が治してやろうか?」
手に持った鉈を見て、お姉さんはニヤリと笑った。
悪寒がしたのでその場から逃げ出す。
走っていたら人とぶつかった。
「うわっ! ×××ちゃん? どうしたの?」
オレンジ頭のお兄さんが不思議そうに此方を見た。
次に後ろから来たお姉さんを見て、ぎょっとする。
「×××ちゃんっ! 何したのっ!?」
「おや、谷崎? アンタも怪我したのかい?」
「し、してませんっ!!」
左腕を後ろに隠して恐怖の表情をしたお兄さんと一緒に逃げ出す。
すると、セーラー服のお姉さんがお兄さんに飛び付いて身動きが取れなくなった。
「兄様〜そんなに怯えてどうされえたのですか?」
「ナ、ナオミ待ってっ! 今は逃げないと……あっ!! ×××ちゃんっ待ってぇぇぇっ!!」
叫ぶ声を後ろから聞きながら、階段を下りて外に出た。
入り口の所で、麦わら帽子を首に掛けた少年が居た。
「あ、×××さん、お出掛けですか? 今日も良い天気で散歩日和ですね」
そう云って空を仰ぐ少年の手には、口から泡を吹いた厳ついおじさん。
「この人は、引ったくり犯です。さっき捕まえました」
ニッコリ笑って淡々と答える少年と別れ、自分は道を歩き始めた。
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白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時