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敦Side


「壱原綴と云えば、名前以外非公開の覆面作家と聞きます」

「まさかこんなにお若い女性だったなんて」



その言葉に、乱歩は怪訝な顔をした。





「若い? 何云ってんの? Aは僕より2つ年上だよ」





「「「えっ!?」」」





思わぬ爆弾発言に国木田さんも太宰さんも驚いていた。

てっきり自分達と同年代と思っていたらしい。



『いやぁ〜あははぁ〜』



特に怒るでもなく恥ずかしそうに笑うAさん。

そんな彼女を見ても、とても28歳には見えない。





「そんな事よりA」

『ん? 何?』





「君、締め切り大丈夫なの?」





『…………あああっ!!』



乱歩さんの言葉に、Aさんは頭を抱えて叫んだ。





『しまったぁぁぁっ今日お昼までの締め切りがあったんだぁぁぁっ! 帰らないと……

 あっ! 敦君その本貸して!』

「は、はいっ!」



駆け寄って僕から本を受け取ると、近くにあった万年筆を掴みサラサラと何やら書いた。

書き終えて再び本を僕に預けた。





『では皆さんっ失礼しますっ!』





そう云ってAさんはピョンと跳ねた。



瞬間、Aさんは目の前から綺麗に消え、事務所内が静かになった。





「何だか忙しない人だったなぁ」

「あーあ、サイン貰い忘れたよ」

「何だ太宰、お前もファンだったのか?」

「ん〜? ちょっとねぇ〜」





僕は受け取った本を開いて、それを乱歩さんに渡した。



「乱歩さん、Aさん書いてくれたみたいです」



裏表紙の部分には、壱原綴のサインが書かれていた。

宛名は「江戸川乱歩様」だった。

急いで書いた割にはとても綺麗で読み易い文字をしている。



そのサインを見ながら乱歩さんは、



「ふーん」



と、興味なさそうに本を受け取った。



「あ、本はまだ借りません。順番に読みますので」



そう云って僕は自分の席に戻った。









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くるっと椅子を回して、乱歩は敦から受け取った本を開いた。

そこにはちゃんとAのサインが書かれている。









「ふふんっ」



乱歩は小さな声で満足そうに笑った。



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(プロフ) - 36ページ 2ヶ所ほど 』が 》になっていたところあります。 (2021年5月20日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
雪代 - めちゃめちゃ好きです…!!もうなんか乱歩さんが主人公ちゃんが可愛くて可愛くて…!!応援しております!m(_ _)m (2018年9月30日 22時) (レス) id: bf2f1ee446 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 乱歩さん……私を殺さないでください…。大好きです (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
にゃー - 乱歩さん可愛!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年8月29日 15時) (レス) id: c7e146b978 (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃたこ - 面白すぎて敬語が抜けそうです←関係ない。更新頑張って下さいっ! (2018年8月17日 9時) (レス) id: 3f5d227eff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年7月29日 22時

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