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皆の視線がAに向けられる。

それに肩を震わせてドアの陰に隠れるA。



『ど、どどどうしましたか皆さんっ!? はっ! も、もしかしてお邪魔でしたかっ! では出直します! 失礼しましたぁぁぁっ!!』



「Aさん、待ってくださいっ!」



慌てて帰ろうとするAを止めるナオミ。

その顔はとても楽しそうだ。



『あ、ナオミちゃん、どうしたの?』

「Aさん、クマ恋の作者の“双葉薫”先生なんですかっ!?」

『えぇっ!? 何で知って……あぁ乱歩君か』



納得したAは、照れながら笑った。





『はい、“双葉薫”です』





すると、Aの両手をナオミが握る。



「私、クマ恋のファンなんです! 新刊も買いました! ドラマ化おめでとうございますっ!」

『えぇぇぇっホントッ!? うわぁ嬉しい! ありがとう!』



Aは嬉しくて手を大きく振る。









.









「え、主人公のモデルって熊谷さんだったんですか?」



その後、ナオミの隣に座って小説の話で盛り上がっていた。



『恋愛小説を書く事になって、題材を探していたら熊さんの初恋話を聞いて。その内容を書いたら、意外にも好評になって』

「あれって本当に実話なんですか? 高校入学式のアレとか、学園祭のアレとか」

『夏祭りのあのハプニングも、面白い事に実話なんですよ』

「えぇそうだったんですかっ!? ではあの肝試しも?」

『はい、あれもです』



そこで、はっと何かに気付いたナオミが口にする。



「そう云えば、熊谷さんって今産休でしたよね。それってっ……!」



すると、Aは口の前に指で「×」を作った。



『……ノーコメントです』

「そうなんですのっ!? キャァーッ!」



内容を知っている二人にしか分からない会話。

しかし、楽しんでいるのは確かだ。





「初恋……憧れますわねぇ〜。そうだ、Aさんの初恋は何時ですの?」





不意にしたナオミの質問に、

何となく二人の話を聞いていた周りの社員が、チラリと視線を向ける。





『初恋、ですか……』





Aはそう呟いて、ふふっと笑った。



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(プロフ) - 36ページ 2ヶ所ほど 』が 》になっていたところあります。 (2021年5月20日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
雪代 - めちゃめちゃ好きです…!!もうなんか乱歩さんが主人公ちゃんが可愛くて可愛くて…!!応援しております!m(_ _)m (2018年9月30日 22時) (レス) id: bf2f1ee446 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 乱歩さん……私を殺さないでください…。大好きです (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
にゃー - 乱歩さん可愛!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年8月29日 15時) (レス) id: c7e146b978 (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃたこ - 面白すぎて敬語が抜けそうです←関係ない。更新頑張って下さいっ! (2018年8月17日 9時) (レス) id: 3f5d227eff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年7月29日 22時

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