五年前 或る構成員 ページ41
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その男は、血だらけに倒れる男を確認すると、目を見開いて驚いていた。
犬達の視線がその男に集まる。
《――アイツも同じか?》
その呟きが聞こえた途端、犬達が男に近付いた。
『駄目ぇっ!!』
Aが叫び、躓きながらも男に飛び付いた。
『もういいっ! もういいよぉっ! ウチはっ……大丈夫、だからっ! だから、もう止めてよぉっ!』
男にしがみ付き、涙をボロボロ流しながら、必死に犬達へ叫ぶ。
Aの言葉が通じ、犬達の唸り声が止んでその場に座った。
公園の前に居た通行人が騒ぎに気付き、救急車と警察に通報。
すぐさまサイレンを鳴らしながら車両が到着する。
公園の周りに野次馬が集まり、Aを捜していた院長も駆け付けた。
男は野犬に襲われ死亡。
顔が食い散らかされ、身元が分からなくなっていた。
男を襲った野犬数匹は捕獲され殺処分となった。
この事件が遭ってから、この公園には人が寄り付かなくなった。
Aの外出も、この時から回数が激減し、何時しか外へ遊びに行く事が無くなった。
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「野犬に襲われて死んだって? へぇ、運が無かったねぇその男」
「俺が駆け付けた時には、もう駄目だった。顔が潰れたトマトみたく滅茶苦茶になってて血の海だったからな」
「うえぇ〜野犬に喰い殺されるのだけは勘弁だよ〜……あ! 安吾、今日トマトジュースだけど大丈夫?」
「……この流れで、敢えて聞いて来るところが貴方らしいですね、太宰君」
「済まん、安吾。気分を悪くしたか?」
「別に織田作さんが謝る事じゃあないですよ。その程度の話を聞いたとしても、これは飲めますから」
「でもまぁ、裏切り者に罰が下ったってことだよ。こっちで処理する手間が省けて良かったじゃないか」
「呑気な事云わないで下さい。それを処理するのは此方に回って来るんですから」
「……済まん、安吾」
「だから織田作さんは謝らないで下さいよっ!」
「でも、そんな現場に居合わせて織田作に何も無くて良かったよ」
「……あぁ、犬に襲われそうになったが、女の子に助けられた」
「女の子?」
「……」
「? 如何しました? 織田作さん」
「……否、俺の思い過ごしだ」
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時