やっぱ見付かった ページ27
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ヒヨコも運ぶ為、近くにあった籠に集めて入れた。
すると、ヒヨコの形が崩れて一匹の大きな猫になった。
《ンナァ〜》
『……う〜ん、デブ猫』
そして、微妙に不細工。
その猫はウチの肩に飛び乗り、太い体がウチの頭に寄り掛かった。
不思議な事に全然重くない。
準備も出来た。
部屋のドアに近付いて、耳を澄ませる。
……静か。多分、誰も居ない。
ゆっくりドアを開いて隙間から覗く。
誰も……居ない。
ドアを開いて廊下に出て、とりあえず進んでみよう。
『と云うか、此処ってマフィアの建物だよねぇ……見付からない様にしなっ――』
見付からない様にしないとやばいよね、って思った矢先、足首に何か巻き付いた。
『のあぁぁぁぁっ!?』
そのまま引っ張られて逆さ吊りになった。
見れば足首に黒い布みたいなのが巻き付いていた。
肩に乗っていた猫は綺麗に着地して、廊下の奥をシャーと威嚇していた。
薄暗い向こうから、真っ黒い青年が咳をしながら歩いて来た。
『……やべ、見付かった』
逆さになりながらそう呟いていると、真っ黒い青年と目線が同じ高さになった。
気絶する前に見た時と同じ、冷たい獣の眼だ。
「愚者め。敵の本拠地で捕虜が自由に歩き回れるとでも思ったか」
そう云って、足首の黒い布が外れ、地面に落とされた。
立とうとしたら、先に胸倉を掴まれて立たされ、壁に押し付けられた。
『うっ』
背中を打って痛みに顔を歪ませる。
その時、威嚇していた猫の体が膨れ上がり、巨大な虎に変わった。
《ガァァァァッ!》
咆哮しながら真っ黒い青年に飛び掛かった。
「刻めば増える。ならば、全て喰い尽くすまで」
青年の外套から獣の頭が飛び出し、虎を一口で喰らった。
『っ!』
「これで貴様を守護する者は居なく――っ!」
此方を見る青年が目を見開き、ウチから手を放す。
後ろの壁から、赤黒い狼が飛び出して来た。
紙一重で攻撃を避けて、距離を取った青年が此方を睨む。
ウチの目の前に、守る様に狼が立ち青年に唸る。
「小賢しい異能だ」
青年の外套から再び獣の頭が出て来て、攻撃を仕掛けようとする。
その時、ウチの後ろから誰かが駆け付けていた。
「大丈夫ですかっ! 先輩っ!」
以前、一緒に捕まっていた金髪のお姉さんだった。
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時